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  • 桜は咲いたが、また寒い【2025年03月30日】

    桜は咲いたが、また寒い【2025年03月30日】

    あたたかくなったと思ったらまた冷えてチューベローズの植え替えをいつやろうか若干悩ましい。

    今週は美術の打ち合わせがあって、その時に私が求めた絵画的な表現について、不安というかイメージが掴めないようで、しばらく自分の意図を話すなどした。

    キャラクターのリアリティーに関わらず、背景はフォトリアルという表現は今のスタンダードだが、特徴的なのは目の大きいキャラクターとの取り合わせ。
    フォトリアルな背景がメジャーになったのは押井守がパトレイバーで写真を下敷きにした背景に比較的リアルなキャラクターを上に置くことでリアリティーを作ったというあたりだろう。
    キャラクターはカワイイが背景はリアル、という形式の嚆矢は、けいおんだろう。
    今はどちらかというと、けいおんの流れが主流を占めている気がする。
    キャラクターの抽象度は高く目が大きくてカワイイ、リアルな背景とは合わなさそうなキャラクターを組み合わせる、そのやり方は不気味の谷のようなものを感じてしまって苦手だ。
    しかし、そういう表現の作品は山ほどあるし受けているので、何故そういう形式が求められているのかは考えている。

    自分の作品では、比較的リアルめなキャラクターでも背景に絵画的なテクスチャーなどをなるべく残すようにしてもらっている。
    背景がフィクションである事を担保してくれることが重要だと思っている。
    ただ最近は背景の抽象度を上げるのは結構難しい。
    抽象性の高いイメージを大勢のスタッフ間で共有していく難易度が高いからだ。
    とくに透視図法を使わない背景はほぼ作れない。
    透視図法は実は比較的簡単に共有可能な方法だ。
    今フォトリアルな背景が席巻している理由の一つでもある。
    3Dモデルを使えば余計簡単に透視図法のクオリティーは上げられる。
    という事で、最近の背景美術の抽象度を上げるには、もっぱら質感ということになる。
    テクスチャーは様々使えるようになってきているので、それなりに幅のある表現は出来るのだけど、作品ごとの決定的な差別化を図るのは難しい。
    毎度悩むのだが、担当するスタジオやスタッフの持つ技術に大きく依存するので、そこで出来る枠組みの中で選択する。

    3Dモデルを使うことに付随する問題も議論されている。
    実写の撮影などを見たことがあれば簡単にわかることなのだが、狭い部屋のモデルなどでキャラクターを大きく映す時、かなり広角で撮ってしまうオペレーターがいるが、これはカメラの後ろの壁を外して引きじりを作れば簡単に解消できる。
    そもそもレンズの選び方の意図が分かっていないとか。

    アニメーターはアニメーターで透視図法が全く分かっていない人もいるし。

    色々悩ましい時代ではある。

  • 編集はじまりとか【2025年03月22日】

    ついに次作の編集が始まってしまった。
    編集が始まったということは音響制作も始まるということのなので、切羽詰まってきた。
    音響制作は役者さんのスケジュールのお尻があるので、始まってしまうと基本的にはあまりずらせない。
    が、ずれまくっているのが昨今ではあるのだけど人気声優を使っているほどスケジュールの押さえが難しく、画の状態が悪くてもアフレコに突入しなければいけないということは有りがち。
    拙作も遅れてのスタートだが、まあそこそこの状態には出来ると思うのだが…。
    ちょっと今回は自分の仕事が多くて大変。
    久しぶりにスタッフに声を荒げてしまったりもして先は思いやられる。

    預かっていた保護猫は正式に我が家の一員となった。
    初日から腹を出して寝ていたので、とくに問題もなく先住猫たちもだいぶん慣れてきたみたいだ。
    体調を完全に理解している訳ではないので、これから何か出てこないといいけど。
    雄猫はある程度年齢がいくとあまり遊ばなくなるのだけど、おもちゃを振ると飛びついてくる。
    子猫返りなのか、ちょっと新鮮。
    真っ黒猫なのでクローゼットなどに潜まれると全く気づかない可能性が高いので扉を閉める時気をつけなければいけない。

    木曜日スタジオに行く前に、新宿の京王百貨店のグリーンギャラリーガーデンズを覗きに行く。
    花苗の売り場面積は狭く量はあまりないけれど、種類はそこそこ置いてあった。
    ローダンセマム2種類、オダマキ、リーフを3種、宿根草をひとつ買う。
    オステオスペルマムも欲しかったけれど、量が多くなるので断念。
    本格的に暖かくなってきたので、家にある花もだいぶ咲いてきた。
    地上部が完全に枯れて2、3ヶ月たったほんとにこれ大丈夫なんかな?と思っていた宿根アスターも芽吹いてきて生きてるんだと驚き。
    しかしフランネルフラワーは冬に水を切らしてしまって完全い枯らしてしまったみたい。
    フランネルフラワーはシルバーリーフが綺麗でかなり良かった。春も売り場に並ぶみたいなので新しいのが欲しい。
    アガパンサスは1種類芽吹きがまだなのでちょい心配。
    根は大丈夫そうだから生きてると思うけど。
    アネモネはとにかく水を吸うので水切れに気をつけたい。
    ビオラももりもりしてきた。
    楽しい季節到来。

  • ストリーボード作成で学ぶ演出(のための準備)【04】「映画理論講義」

    ストリーボード作成で学ぶ演出(のための準備)【04】「映画理論講義」

    いろいろ探してみたけれど一般書で出ている映画理論の入門的な本は殆どなくて、2000年に勁草書房から出たこの本くらいしか見当たらなかった。今も新しい刷りで売り続けてるので参考に良さそう。

    映画理論講義 –映像の理解と探究のために

    著者:
    ジャック・オーモン
    アラン・ベルガラ
    ミシェル・マリー
    マルク・ヴェルネ

    訳者:
    武田 潔

    目次:

    序論 …………………………………………………………………………………. 3

    I 映画文献の分類 ……………………………………………………………… 5
    1 “一般的な”の出版物 ……………………………………………………. 6
    2 映画狂のための書物 ……………………………………………………. 7
    3 理論的著作 ……………………………………………………………… 8

    II 映画理論の諸相 ……………………………………………………………. 10
    1 “内発的”理論 …………………………………………………………. 10
    2 記述的理論 …………………………………………………………….. 11
    3 映画理論と文学 ……………………………………………………….. 11
    4 映画理論と技術的実践 ………………………………………………… 12
    5 映画理論の多様性 ……………………………………………………. 12
    注 ……………………………………………………………………………… 15

    第1章 視聴覚的表象としての映画 ………………………………………….. 19
    I 映画的空間 ……………………………………………………………….. 21
    II 奥行きの技巧 …………………………………………………………….. 32
    1 遠近法 …………………………………………………………………. 32
    2 被写界深度 ……………………………………………………………. 35
    III ショットの概念 ……………………………………………………………. 41
    IV 聴覚的表象としての映画 ………………………………………………… 48
    1 経済的=技術的要因とその歴史 ……………………………………… 48
    2 美的およびイデオロギー的要因 ……………………………………… 49
    注 ……………………………………………………………………………. 55

    第2章 モンタージュ …………………………………………………………… 61
    I モンタージュの原理 ………………………………………………………. 63
    1 モンタージュの対象 …………………………………………………… 67
    (1) 映画作品の一部分(映画的連辞)でショットよりも
    大きいもの …………………………………………………………. 67
    (2) 映画作品の一部分でショットよりも小さいもの …………………. 68
    (3) 映画作品の一部分でショットへの分割と(完全には)
    一致しないもの …………………………………………………… 69

    II モンタージュの機能 ……………………………………………………… 76
    1 経験的アプローチ ……………………………………………………. 76
    2 より体系的な記述 ……………………………………………………. 78
    (1) 「創造的」モンタージュ ………………………………………….. 79
    (2) 統辞的機能 ………………………………………………………. 80
    (3) 意味的機能 ………………………………………………………. 80
    (4) リズム的機能 …………………………………………………….. 82
    (5) モンタージュの分類法 …………………………………………… 83

    III モンタージュのイデオロギー …………………………………………… 83
    1 アンドレ・バザンと「透明性」の映画 …………………………………. 84
    (1) 「禁じられたモンタージュ」 ………………………………………. 85
    (2) 透明性 ……………………………………………………………. 87
    (3) つながりのためではないモンタージュの拒否 ………………….. 91
    2 セルゲイ・エイゼンシュテインと「映画の弁証法」 …………………. 92
    (1) 断片と衝突 ………………………………………………………. 97
    (2) モンタージュの概念の拡張 …………………………………….. 97
    (3) 観客に対する影響 ………………………………………………. 97
    注 ………………………………………………………………………….. 100

    第3章 映画と物語 …………………………………………………………… 105
    I 物語映画 ………………………………………………………………… 107
    1 映画と物語の出会い ………………………………………………… 107
    2 非物語映画――境界を定めることの難しさ ………………………. 109
    (1) 物語的/非物語的 …………………………………………….. 109
    (2) 境界の基準 …………………………………………………….. 109
    3 物語映画――研究の対象と目的 …………………………………… 111
    (1) 研究の対象 …………………………………………………….. 113
    (2) 研究の目的 …………………………………………………….. 113

    II フィクション映画 ………………………………………………………… 115
    1 あらゆる映画はフィクション映画である ……………………………. 119
    2 指向対象の問題 …………………………………………………….. 119
    3 物語言表、物語叙述、物語世界 …………………………………… 121

    第4章 映画と言語活動 …………………………………………………….. 187
    I 映画言語 ………………………………………………………………… 189
    1 古くからある概念 ……………………………………………………. 190
    2 初期の理論家たち ………………………………………………….. 192
    3 「映画の文法」 ………………………………………………………. 197
    4 映画における言語活動についての古典的理論 …………………… 201
    (1) 伝統的な映画言語 …………………………………………….. 202
    (2) 言語活動の消滅に向けて? …………………………………… 203
    5 記号なき言語活動 ………………………………………………….. 206

    II 映画――言語か言語活動か? ………………………………………… 209
    1 映画的言語活動と言語 …………………………………………….. 210
    (1) 言語の多様性と映画言語の一律性 …………………………… 211
    (2) 言語活動、コミュニケーション、極の入れ換え ……………….. 214
    (3) 映画言語の類同的なレヴェル ………………………………… 215
    (4) 線状性と離散的単位の存在 ………………………………….. 216
    はい、続きをお送りします:

    (5) 映画における分節の問題 ………………………………………. 216
    2 映画の理解可能性 ………………………………………………….. 218
    (1) 知覚的類同性 ………………………………………………….. 219
    (2) 「質料的希釈のコード」 ………………………………………… 221
    (3) 映画特有の記述形式の形象 ………………………………….. 223

    III 映画的言語活動の不均質性 ………………………………………….. 228
    1 表現素材 …………………………………………………………….. 228
    2 記号学におけるコードの概念 ……………………………………… 230
    3 映画に固有なコード ……………………………………………….. 232
    4 映画に非固有なコード …………………………………………….. 235

    IV 映画作品のテクスト分析 ………………………………………………. 237
    1 「言語活動と映画」における「映画作品のテクスト」という概念 …… 238
    2 実例――D・W・グリフィスの『イントレランス』
    におけるテクストのシステム ……………………………………… 240
    3 文学の記号学におけるテクストの概念 ……………………………. 242
    4 テクスト分析の抑制性と理論的射程 ………………………………. 248
    (1) テクスト分析の主要な特徴 ……………………………………. 248
    (2) テクスト分析における具体的な困難 …………………………… 251
    注 ………………………………………………………………………….. 259

    結論 ………………………………………………………………………….. 351
    注 ……………………………………………………………………………. 359

    参考文献(I、II)……………………………………………………………. 363
    用語対照表 …………………………………………………………………. 403
    索引(人名、映画題名、事項)…………………………………………….. 417
    訳者あとがき ……………………………………………………………….. 453

    原書は初版が1983年、改訂が94年らしいので30年くらい前にフランスで出版されたらしい。

    私が学生の頃なので参考で扱ってる映画も古いがまあ仕方ない。

    少し読んでみたが凄く抽象的な部分はあるけど、使えそう。

    映画評論はずいぶん沢山出ているし理論的な更新みたいなものは無いのか?と思うけど無いのかもしれない。

    渡邊大輔が言ってることなんかは新しいと思うけど、入門としては必要ないのか…いやそうでもないような。

    YouTubeはじめ映像メディアは様々広がっているので本当は更新されて良さそうだが。

    学校などでは、どういう本を教科書で使っているのだろうか?

    私が見つけられないだけで、良い本があるのかもしれない。
    フィルムアート社から出ている入門書的なものは実務的だけど理論が薄そう。パラパラめくってみただけなんでわからないが。

    認知科学とかも随分進んでいるので、その辺りを引いたものもありそうなものなのだが。

    その辺を調べ出すと無限に時間がかかりそうなので躊躇してしまうが、多少はやらないとダメそうだ。
    そのあたりは良さげな本のあたりがついてるので。

    私が学生の時は、ほしのあきら「フィルムメイキング」を使ってた。本人が講師だからだが。
    エイゼンシュタインの理論などは、ぱらぱら読んだけど流石に嘘でしょみたいな部分も多くて今素朴には読めない。

    「映画理論講義」はそのへんもざっくり整理してあるみたい。とにかくざっくりでも読まないとなぁ…。

    実務的なものは他にも良さげな本があるので、参考にしようと思う。最近の学生はそういうのを読んでるのかもしれない。

    映画記号論的なものはだいぶ前に死滅してしまったようで、理論書は流行らなくなったのかも。
    私が教わった浅沼圭二で終わってるぽい。

    映画分析的な本は色々ある。
    苦手な蓮實重彦もめくってみるべきなのかもしれないが。

    私のやろうとしてることも、どちらかというと実務寄りだし。

    久しぶりに更新。

  • リメイク・流行り・今【2025年01月27日】

    リメイク・流行り・今【2025年01月27日】

    寒さで枯れ込んでしまった赤羽千日紅寄せ植えをバラしてアネモネとグラスで植え替え。
    アネモネは霜が降りる様な寒さにもめげずに咲くので気に入っている。
    ただ花首がぽっきり折れてしまうほど強い風が吹くことがあるので対策できると良いのだが、短めのピックなど売っているのだろうか。
    もう一つ植え替えたい寄せ植えがあるが、花を買いに行く余裕がない。
    いちじくもそろそろ植え替えないと暖かくなってきてしまう。
    近所のめちゃめちゃセンスよく植物を飾ってある家にオリーブだったか(うろおぼえ)大きなシンボルツリーがあって、てっきり地植えだと思っていたのだが、よく見たらドラム缶の中に植え込んであることに気づいた。わざわざドラム缶を調達して植え込んでるわけで感嘆せざるを得ない。
    捨てて置いてある様にみえる錆びたスチールの書類棚などが巧みに配置されていて、ほとんど鉢植えで飾ってあるのだけど景色が作り上がっている。
    上手くやればこんなことが出来るのかと思うものの、色んな意味で相当に凝らなければ難しいことも判る。
    気負っても、植物はいい感じになるまでに時間がかかるし、上手く育てられる様なるには経験が必要。センスよく飾るのは、そのまた先という具合で一足飛びにはいかない。
    まずしばらく、気楽に育てたいものを育ててみる。

    ジークアクスは平行宇宙というかファーストガンダムのifの世界だったいうのは、ちょっと驚いた。
    そもそもテレビシリーズとして作られているものなので映画はごく触りだけだから、どうファーストの物語と関わっていくのかまだわからない。
    ビギニングの部分はあれで初めてみる若者などはどの程度理解できるのだろうか?と思うが絵は流石に綺麗に出来ている。
    本編?は、前提の世界観を共有出来ないと分からないということでもなさそうだが、どんな観客層を想定しているのかは聞いてみたい。
    伝統が重いと新規は入りにくいわけだが、伝統を知る者にとっては考えることが減って楽。
    保守に軸足を置いていると考えるとまさに今風な作品と言えるのかもしれない。

    リメイクは制作側としてやりたい人とやりたくない人とハッキリ分かれる気がする。以前、私は全くやりたくない派だったのだが今はまあそうでもない。
    リメイクはリメイクだけに以前のものを化粧直ししながらなぞることになるので、分かりきっていることに新鮮な気持ちで向き合う必要がある。
    リメイク小説というのは、少ないと思うが映像のリメイクは、もはや伝統的に作られている。
    観客は以前の作品を知らなければ新鮮に見ることが出来るかもしれないが作り手は仕事を引き受けるまで知らなかった作品だとしても前提を踏まえるために詳細に元の作品について知らなければいけない。
    そして観客が新鮮な気持ちで見られる様に工夫を凝らす必要がある。
    そもそも元の作品は、それが作られた時代を背景として成立しているので、リメイクされる時代との齟齬をどう埋めていくのか、とくにアニメは若者に向かって作られていた分、時代の空気をいやがおうにも色濃く反映してしまっているのでリメイクによって脱色されてしまう部分が大きいと酷くつまらない物になる。
    いざ仕事でやれと言われたら難しそうだ。

    若い頃は自分の好きだった作品「のようなもの」を作りたいと思うのは自然だが、実際作る立場になると自分のやりたいことと観客の求めるものとの不一致に悩むことになるのが常だと思う。
    自分はどんどん年老いていく事に無自覚なまま、自分の見たい物を観客に見せても失敗する。
    しかし、自分が相手にする観客について知るということは容易ではないし、相手に合わせることに腐心して自分の興味のない物を作っても仏作って魂入れずということになる。
    魂が入っていなくたって面白いということもありうるかもしれないが。

    原作ものをやっていると特に自分との繋がりをどうつくるか考えざるを得ない。

  • アイカツライブ・トットちゃん【2024年12月23日】

    アイカツライブ・トットちゃん【2024年12月23日】

    もうすぐクリスマスというか、お正月。
    やばい。仕事が。

    先週の日曜日はアイカツ!のあかりジェネレーション10周年を記念したライブ「キラッキラ」へ。
    10周年…いやぁそうですか。
    アイカツ!が放映されていた期間は3年半くらいでもうその三倍の時間がたったということなんだな。3年目以降があかりジェネレーションだからそこから10年ということですか。

    ライブはメインのアイドル担当の役者の皆さんが全員集まってくれるという奇跡のようなブッキング。
    流石に公演時間が伸びまくって4時間というのは申し訳なかったが、楽しんではもらえたのではなかろうか。
    私も皆んなの元気そうな顔を見て安心した。

    荊棘の女王が久しぶりに聞けたのも満足。

    久しぶりにアイカツ!絡みの仕事が沢山ある年末だった。

    しかし、この調子で記念イベントやってると毎年なんかありそうで、ファンの皆さんは大変だな。

    ここのところ久しぶりにアニメ映画を見た。といっても最近のものではなく見逃していたものを幾つか。

    まずは窓際のトットちゃん。
    これは良くできていた。
    ベースは地味な話であると思うのだけれどイメージシーンなどを上手く使ってアニメらしい飛躍した表現も交えつつ娯楽としても十分楽しめるようなつくり。
    アートアニメの要素を巧みに取り入れて、表現の幅が広い。

    日常芝居の表現はジブリ的な流れの最先端と言えるのかもしれない。
    身振り手振りは少し大きめに表現されていて、それが作品の方向性とうまく嵌っているし芝居のアイデアも豊富でかなり丁寧に手間をかけた芝居作りになっている。
    一般のお客さんが見ても分かりにくいかもしれないが、ここまでやるか!というくらい大変なことを丁寧に作り込んでいて感嘆した。
    演出はオーソドックスなことをしっかりやるという方向性で、これを教科書に演出を教えれば基本は網羅できるんじゃないだろうか。
    映画館で見なかったことを若干後悔した。

    きみの色、化け猫あんずちゃん、も見た。
    たまたまだが日常芝居に対する思想の違いが分かりやすくて面白い作品たちだった。

    きみの色は、リアルで地味な芝居を真正面からトライしている。トットちゃんとは真逆の芝居作り。
    しかし、ここまでやれば素晴らしいと思えるくらいにやり切っていてすごく好みな芝居作りだった。
    ロトスコープではないけど、リアルな方向を目指している。
    ちゃんとアニメらしい派手さのある芝居も用意されている。
    興行成績が振るわなかったのはシナリオ的な問題が大きいのかもしれない。

    一方、化け猫あんずちゃんはロトスコープを使ってファンタジーの世界を描くという変わったアプローチ。
    きみの色とは逆の思想、トットちゃんの方が近い。
    ロトスコープを使うことによってファンタジーにリアリティーを与えようとしているのだろうと思うけど、山下敦弘氏が元々やりたかったという企画らしいので、山下氏の能力を活かすためのロトスコープという技法という側面が大きいのかもしれない。

    アニメーションの監督として久野遥子さんが立っているが、日常芝居に関しては久野さんの良さがロトスコープによって縮減してしまっている感は否めない気がする。
    あと、単純にセリフの間がロトスコープの映像をまま使っているようで会話が間延びして感じる箇所が少なくなかった。人間の役者が写っている場合は間の仕草などで間が気にならない可能性があるのだけど、アニメのキャラクターに置き換えた時に上手く間のニュアンスが伝わらないということが起こっているのかもしれない。
    鬼のような現実にないキャラクターはロトスコープによって現実感が増していると思うが、逆にどこで飛躍させるかの判断の難しさを感じた。
    ロトスコープの良い面、難しい面が分かりやすく出ている。

    トットちゃん、きみの色、あんずちゃんと見比べるとアニメーションにおける日常芝居のリアリティーを考える上でとても面白いと思う。

    この週末の土曜日は恒例になった声優のワークショップの講師。
    演出家という職業は分かりにくいので、それについての講義にしている。
    結局2時間くらい話してしまうのだが、それでも毎度これも言っておけば良かったなと思うことが残ってしまう。
    やるたびにまとまって分かりやすくはなっているとは思うが、どうだろう。

  • ペットロス【2024年11月18日】

    ペットロス【2024年11月18日】

    猫との別れは何度経験しても慣れないもので…。
    具合が悪そうだな、と気付いてからあっという間に逝ってしまった。

    4ヶ月ほど前の検査では、まずまずだったのだが、先週末ご飯を食べなくなって病院へ連れて行ったのだが。

    膀胱の脇に腫瘍が出来ていたらしく、それが静脈を圧迫して歩行も難しくなっていた。

    歩きづらそうだな、と思っていたが猫は痛みを我慢するので、そこまでクリティカルな原因があるとも思わずにいた。
    腎臓の数値も悪くなっていて、しかしまだ何とかという所だったようなのだが腫瘍との相乗効果か急速に体調は悪化したようだ。
    ここ最近の急な寒さで激変したのかもしれない。

    まあまあ歳だったので仕方ないないと思うのだが、もう少し上手く対処してやれば楽に逝けたのかななどと詮無いことを考える。
    しかし言葉の通じない猫の変化を素人が察知するというのは、なかなか難しい。経験を積めば重要な変化に気づけると思うのだけれど。
    人間というか、自分自身のことですらままならないのだから。

    ペット界隈の医療は二極化しているそうで、街のホームドクターと大学など専門機関。高度な医療を施すところは、とても高い医療費を取るらしい。
    専門の機関だと検査で20〜30万、手術で40〜50万、合わせて100万くらいしてしまうとか。
    確かに、前の猫で検査してもらった時は結構取られた記憶がある。

    老齢の犬猫に高い手術をしたとて、そう長く寿命が伸びるわけでも無い事が殆どだろう。苦痛は取り除いてやりたいが、さすがに何処まで手をかけるか悩ましい。

    もうしばらくはペットロスから抜けられなさそうだ。

    もう11月も半ばを過ぎてしまった。

    来年は頭からバタバタしそうだし、なんだか余裕がない。


    とある原作者の人に、コンテの絵が綺麗で驚いた、というようなことを言われた。漫画のネームのようなものかと思っていたと。

    まあ確かに漫画のネームよりはアニメの絵コンテは詳しく絵が描かれている事が多いかもしれない。
    これは良し悪しがあって、そもそも絵コンテだって漫画のネームのようなかなりラフな絵でも問題がないはずだ。
    ラフな絵ですめば、そちらの方が圧倒的に早く描ける。

    漫画と違ってアニメは大勢の人間が関わるので下書きも他人が分かる絵である必要性が少し高い。

    しかし、必要な情報が分かればそれほど丁寧に描く必要もないわけで、現状の絵コンテの几帳面さはアフレコが絵コンテを撮影した映像で行われるという場合があることへの対処という側面が強いように思う。

    もちろん他にも(絵的に)詳細な絵コンテが描かれる理由はあるのだが、スピード重視で描かれる事があまりないのは、殆ど上記の理由ではないだろうか。

    世の中には凄い人がいて頼んで10日もあれば詳細な絵が入った絵コンテが上がってくることもある。

    しかし、それは稀で普通の人だと一本の絵コンテを上げるのに3週間から6週間くらいが平均だろう。(もちろん他の仕事もしながらのスケジュールなのだが)

    ただ、ラフだけだったら2日3日で出来てしまうという人は少なくないのではなかろうか。

    ラフだけ演出家が描いて、清書をアニメーターに任せるようなやり方も有りそうだが実際は殆ど例がないと思う。

    絵コンテについては、もう少し効率的な方法が色々な形で模索できそうなのだが、なかなかそうはなっていない。

    絵が綺麗だと褒められるのは嬉しいのだが、問題の多い工程でもある。

    泣きつかれて急ぎの絵コンテをこなしたりアイカツ!のイベント用の仕事があったりと10月末から忙しくてしんどいが、あと半年くらいはこんなこんな感じなのかもしれない。

  • 神経質な時代なのかも【2024年11月02日】

    神経質な時代なのかも【2024年11月02日】

    今週はへとへと。
    仕事で気力も体力も失って本も読めない。
    のだが、また細かい仕事が増えたりして果たして終わるのだろうか…。

    今週は連休なのだなと、さきほど気づいた。
    昔は連休も土日も関係なく仕事の連絡が来ていたりしたものだけれど、最近は大分少なくなって健全になったものだと思う。
    急ぎの仕事の返信もまだ来ていないもの。

    仕事でちょい驚いたことがあり、それにまつわることをメモ的に記す。

    最近のアニメ制作は、ほとんどが原作ありきの仕事である。
    最近でなくとも原作ものの仕事はずっとあったわけだけど揉め事などの話もよく聞いた。
    しかし、お互いに歩み寄りやら色々あって、ここ10年くらいで作り方は非常に落ち着いてきているというのが個人的な印象。

    もちろん今だに揉め事の話も聞いたりはする。アニメの話ではないけれど、ついこのあいだ原作者が亡くなってしまった事件まであったわけで。
    しかし、トラブルシューティングなどは出版社など権利を持っている側と制作サイドともに随分とノウハウは蓄積されていて、穏やかに仕事が進んでいるところが多いのではなかろうか。
    派手に揉めている話は随分聞かなくなった気がする。
    あるいは揉めてもなんとかなる段階で手を打てているというべきか。

    なんとかなる段階、それはプリプロ。
    絵的には設定画などの確認。
    お話は脚本の段階で、なるべくしっかり合意して揉めないようにしましょう、ということ。

    特に脚本の擦り合わせは昨今非常に重要度を増している。

    さて、過去アニメ業界ではシナリオを軽視する演出家も少なくなかった。
    その理由は色々あると思われる。
    ひとつはアニメに限らず映像化の際に原作を大幅に改変する場合があった。
    もうひとつは、アニメオリジナルの作品が多かった。

    映像化の際に原作を大幅に改変していた理由は色々あるのだろうけど、昔は改変がそれほど悪とされてはいなかった。
    映像は別物としてあまり気にしない原作者も多かったと聞く。

    もうひとつアニメにオリジナル作品が多かった頃は、演出家の裁量でお話をアレンジしてもそれほど問題にならなかった場合も多かったと思われ、そういう文化の中で育った人は、とくに悪気なくシナリオを軽視するということがあったのではないかという気がする。

    実際、私もオリジナルの仕事の時は脚本に沿うことに凄く気を使うということはない。
    といっても、シナリオを軽視しているわけではなく、映像化の際に必要なアレンジや、ノリでこの方が面白いかなといったアイデアを入れるときに凄く気を使はなくて済む、という程度である。
    そもそも面白いお話を作るために脚本会議をやっているわけで、シナリオを無視して作るというのは、その時間を捨てるということなのだから馬鹿げている。
    最近でもオリジナルの仕事で監督が勝手に話を変えて脚本家と揉める、という話も聞くことはあるのだが何故なのか…。

    しかし昨今の原作もののシナリオは、少し繊細である。
    シナリオ会議に原作者が参加する場合も少なくないので、意外に細かなところまで原作者の手が入っている場合がある。
    脚本は原作サイドとの契約書にも似た機能を果たすようになっている。
    なので、監督といえども簡単に改変はできない。
    改変したければシナリオ会議の段階でアイデアを提案するのが筋なのである。

    実際私も大きめの改変を提案することがあるが、それは会議の場で議論される。

    各話のコンテマン、演出家はシナリオ会議での議論を知らないのでシナリオの改変は難しくなる。絵コンテなどは良くも悪くも極力シナリオに沿って描かれる。
    とはいえ、脚本通りに映像を作るというのは無理なので映像化するために多少のアレンジはどうしても必要だ。

    私が原作ものの各話の絵コンテを担当する場合も極力シナリオ通りに作って、明らかに変えた方が良さそうなところがある場合は、なるべく発注の段階で確認する。
    描きながら分かったことは断り書きを入れて直すか、放置して監督に判断を任せるというのがもっぱらだ。

    ノリで作って、それを面白がれた時代もあったのだと思うが、今は良くも悪くも難しい。

    漫画にせよ小説にせよ原作もののお話は一人の人間が描いていることが多いので、どうしてもその人にしか分からない理屈のようなものでつながっている部分がある。
    ブラックボックスのような、その人の頭の中だけにある理屈は創作の魅力にもなりうるものなのだけれど、映像のように大勢の人間が関わって作る創作物の場合は他人と共有できないと理屈そのものが抜け落ちてしまうこともある。
    ブラックボックスはなるべく少ない方が良いし、しかしそれが無くなることも原理的にないと思う。
    すくなくとも監督と共有できていれば作品が大きくずれたものになることはない。

    しかし末端のスタッフの創作性や実務的な問題とどう両立させていくか、というのは悩ましい。

    池田繁美さんが亡くなった。
    夏色キセキの時に一緒に仕事をした。
    ガッチリした分かりやすい設定が印象的だった。
    昔気質の厳しい人であったのだと思うが、私は意外と気安く話してもらっていた気がする。
    昭和の職人たちが亡くなっていくのは仕方ないことだが残念だ。

  • ストリーボード作成で学ぶ演出(のための準備)【03】・基本的な目的

    ストリーボード作成で学ぶ演出(のための準備)【03】・基本的な目的

    順番に内容を整理
    GPTの整理では、
    1. ストーリーボードの基本的な目的を理解する

    • 目的の説明: ストーリーボードは、映像のシーン構成やカメラワーク、キャラクターの動きを視覚的に整理するためのツール。シナリオから映像化の第一歩であり、アニメーターや制作スタッフとの共通言語となるものだと説明します。
    • 具体例の紹介: 完成したアニメーション作品のストーリーボードと映像を比較しながら、どのようにストーリーボードが映像に変わるかを実例で見せます。

    アニメーションというか我々が作っている商業アニメーション(この様式に対する明確なネーミングはないのは問題だ)を制作する上でストーリーボードがどの様な役割を担っているのか整理する

    • 実際に制作する映像を視覚的にわかる様に計画する
    • 物語全体の時間の想定または算出。全体の時間をどの様に分割するか、しないかを計画する。
      分割単位は大きくシーンとカットがあるが、シーンはシナリオで既に想定されているので、基本的にはカットの単位で分割を考える
    • 映像内で起こる事象の提示(場所、演技、その他主要な映像に写すことが必要な事象)
    • 事象をどの様に映し出すかの提示(フレーミング、カメラワークの提案)
    • 部分、全体の作業負荷の想定、見通しを立てる
    • 音響についても大まかに想定する場合がある

    演技をストーリーボードで想定するのは、日本のアニメの多きな特徴。
    実写だったら俳優の演技があるので、演出家が事前に想定する部分は限定的だ。
    日本のアニメは作業負荷の想定やキャラクターの統一などの理由から、かなり踏み込んだ部分まで演技が描かれる場合がある。
    作業者の負担になる部分でもあり、面白いところでもある。

    大まかな項目としたらこんなところか?
    ストーリーボード作成の目的自体は初心者にも比較的容易に理解可能だろう。
    ただ実際のストーリーボードは、作品や監督などによって「どこまで踏み込んで考えるか」や「重要な要素」が大きく違う。

    しかし演技、撮影効果、音響など、何をどこまで想定するのがストーリーボードの役割なのか、初心者にはある程度明確にしておくべきだろう。

    あくまで商業アニメ制作に絞って、その役割をもう少し整理してみる

    時間の算出
    演出家を仕事としている身としては、このことが非常に重要だ。
    何故なら、尺が足らなくてもオーバーでも商品としては成立しない。

    映画であれば厳密なフォーマットは存在しないものの、90分と120分では、製作費が変わってくるし上映可能回数も変わってくる訳で、適切な尺に収めるのは管理職としての演出家に常に求められる。

    しかし、超初心者に教える場合や、演出の概念やストーリーボードの仕組みを教えるだけであれば、あまり教える必要はない。
    実際、学生の時はこんなことを言われたことはなかった。
    プロになってからは、尺が上手くコントロールできなくて冷や汗をかいたことが何度となくあるのだが…。

    とりあえず各項目ごとに、これは初心者に必要か?ということを整理していくしか無いかも。

    ・演技の想定
    これは結構、初心者でなくても難しい項目。
    初心者にストーリーボードを教える場合、実は「演技については考えさせない」方がストーリーボードの仕組みはわかりやすいかもしれない。

    映像のつながりを想定するだけであれば詳細な演技は必要ない。
    ただ画面内のキャラクター(人物)の位置が想定されていれば良いだけである。
    実写の様にカメラが移動して構図が変わる場合でも、見かけ上のキャラクターの位置が分かれば繋がるかどうかは判断がつく。
    キャラクターが移動する場合でも、同じく画面内の見かけ上のキャラクターの位置が分かれば良い。
    芝居を一緒に考えると混乱したり、映像の繋がりについて忘れたりしがちだ。

    しかし実際のアニメの現場では、演技の想定が演出家というかストーリーボードを描く人間に強く求められている。
    理由としては、
    ・全体の作業量の想定
    ・キャラクターの統一
    ・アニメーターが演技を考えてくれない、あるいはその時間がない
    などがある。

    これは初心者がストーリーボードを学ぶ際に結構足かかせになっている気がする。

    初心者に教える場合は、ストーリーボードで求められる演技について整理しておく必要があるやに思う。

    抽象的にも具体的にもなりすぎない様に、ストーリーボード作成の目的を整理しなくてはいけない。

    そしてそもそも、誰に教えると想定するのかハッキリさせる必要がある……のだが、超初心、初心、中級者でだいぶ内容が変わってしまう。

    今回はここまで。


  • ストリーボード作成で学ぶ演出(のための準備)【02】

    ストリーボード作成で学ぶ演出(のための準備)【02】

    chatGPTが出してきたストーリーボードを新人に教えるための項目

    1. 目的の理解
    2. シナリオの解釈とシーンの分解
    3. カメラワークの基本
    4. 構図とレイアウト
    5. キャラクターの動きと表情
    6. シーンの繋がりとテンポ
    7. 映像言語の使い方
    8. ライティングと影の活用
    9. 音響や音楽の考慮
    10. フィードバックの受け入れ方

    これはこれで的を得ていると思いつつ私が普段教える時は、以下のような要素を意識している。

    1. カメラの高さについて
    2. サイズの選択について
    3. 写す対象について
    4. イマジナリーラインの理解
    5. 二人の会話
    6. 三人(多人数)以上の会話

    これだけ。これだけというか、2人の会話も3人の会話もイマジナリーラインのサブ項目なので、大体4項目。
    普段は描いたコンテとシナリオをもらって添削のような形で教えることが多いのだけど、やはりあまり難しいことを言っても伝わらない。ので、なるべくシンプルに教えようと心がけてはいる。
    シナリオの解釈は頭の1、2、3に関わるのだが、ここはとても難しい。

    アニメの絵コンテでは、実写では別の役職が担っている仕事を一手に引き受けているため、新人さんは混乱してしまうことが多いという気がする。
    ・映像のつながりを決める
    ・キャラクターの演技を作る
    このうち演技の方は、実写では主に役者が担っているのだけれど、アニメの場合演出家(の描いた絵コンテ)でかなりの部分を想定することを要求される。
    この演技を考える部分が、かなり難しくて教えるのにも困難がある。私もあまりまともに教えられる気がしない。
    しかし、映像のつながりを決める部分に限定するとそれほど難しくは無いのではないかと思っている。
    まずは、この2つを分けて考えることがストーリボードの理解の助けになるのではないか。
    その場合、シナリオの解釈はどこまで必要なのか?
    シナリオの読み方をそもそも先に教えた方が良いのではないか?
    という気もしてくるが、それはそれで大変なことなので、なるべくシンプルに同時に教える方向で考えてみたい。

    シナリオの解釈を教える場合、「誰が、どこで、何を、どうした」5W1Hの理解と表現が基礎。
    あとはキャラクターの感情とそのつながりの理解。

    演技はそれ単体で非常に奥深い技術が蓄積されていると思うが、私は詳しくないので調べる必要あり。
    演技メソッド的な本はたくさん出ているのである程度漁ればざっくり把握は可能かと思われる。
    アニメの演技は表現の幅など人間のそれとは違う。
    またアニメ的キャラクター独特の表現の難しさ(視線の問題など)があるので、そこは教えられると良いかもしれない。

    絵的な表現についても私はあまり詳しくないので、ざっくりと調べる必要あり。
    パース、構図の一般的な技術など。

    ・対象の選択
    超初心者向けに教える内容と中級者以上向けに教えるのでは内容が大幅に違ってくる。
    まずは超初心者向けの内容について考えてみるか。

    やはり重たいが、まあ進めてみよう。

  • ストリーボード作成で学ぶ演出(のための準備)【01】

    ストリーボード作成で学ぶ演出(のための準備)【01】

    たまーに若い子に絵コンテを教える機会もあり、なかなかオーソドックスな絵コンテのスタイルや描き方は教えられていないのだなと思うことがしばしばあった。
    なので、絵コンテに興味がある人向けに教育的メソッドを作ってみようと思い、しかし一から作るの手が掛かるのでどうしたものかと思っていたが、電車の中で半分暇つぶしに、絵コンテ制作を新人演出に教えるアイデアを提案せよとChatGPTに投げてみたところ、意外とまともなアイデアが返ってきて大変驚いた、と共にこれを叩き台にして作れば、あまり時間をかけずに出来るかもしれないと思ったので早速始めてみることとする。
    以下はchatGPTの提案である。

    ChatGPT
    新人の演出家にストーリーボードの描き方を教える場合、基本的な技術から応用まで段階的に教えることが効果的です。以下の順番で教えると、理解が深まりやすいです。

    1. ストーリーボードの基本的な目的を理解する

    • 目的の説明: ストーリーボードは、シナリオを視覚的に整理し、映像の流れを決定するツールであることを説明します。キャラクターの動きやカメラの視点、シーンの構図などを計画し、チーム全体に作品のビジョンを共有するために使われることを強調します。

    2. シナリオの分解と解釈

    • シナリオの分析方法: まず、シナリオをシーンごとに分け、必要な演出要素(アクション、対話、感情表現など)を把握する方法を教えます。
    • 重要シーンの特定: ストーリー全体の中で特に重要なシーンやクライマックスを特定し、その部分を重点的に描く技術を学ばせます。

    3. カメラワークの基本

    • 視点とアングルの基礎: 視点(主観/客観)やカメラのアングル(高い視点、低い視点、横からなど)の違いが映像に与える効果を説明します。
    • カメラの動き: パンやズーム、トラックなどのカメラの動きをストーリーボードでどう表現するか、動きに合わせてシーンをどう切り替えるかを教えます。

    4. 構図とレイアウトの基礎

    • 三分割法や視線誘導: 三分割法などの基本的な構図のルールや、観客の視線をどこに誘導するかを学びます。
    • 空間の使い方: キャラクターやオブジェクトの配置が、シーンの緊張感や動きにどのような影響を与えるかを説明します。

    5. キャラクターの動きと表情の描写

    • アクションの分解: キャラクターの動き(歩く、話す、戦うなど)をどのようにコマ割りで描くか、動きの流れやスムーズさを意識したストーリーボードの作り方を教えます。
    • 表情の変化: キャラクターの感情を伝えるための表情の変化をどのように描き、シーンに反映させるかも重要です。

    6. シーン間の繋がりとテンポ

    • シーンの切り替えと繋がり: シーンのスムーズな切り替えや、ショット間のテンポの取り方を説明します。カット間のリズムやテンポ感が、視覚的な効果や感情の高まりをどう変えるかを学ばせます。
    • テンポとリズムの重要性: アクションシーンと静かなシーンの対比や、リズムを意識した編集の仕方を教えます。

    7. 効果的な映像言語の使い方

    • 象徴やメタファーの導入: ビジュアルに意味を持たせる方法や、観客に暗示的に伝える演出手法を紹介します。たとえば、特定の色や形がシーンにどのように意味を加えるかを学びます。
    • サブテキストの表現: キャラクターが話している内容以外の、裏の感情や状況を視覚的にどう表現するかを教えます。

    8. ライティングと影の活用

    • 照明効果の理解: 光の当たり方や影の使い方が、キャラクターやシーンの感情にどのような影響を与えるかを説明します。
    • 時間帯や天候の表現: ストーリーボードで時間の流れや天候の変化をどのように描写するかを学ばせます。

    9. 音響と音楽の考慮

    • サウンドキューの入れ方: ストーリーボードには音響や音楽の指示も含める場合が多いため、どのタイミングで音が入るか、シーンに合わせた音響演出の指示を追加する技術も教えます。

    10. フィードバックの重要性

    • フィードバックを受け入れる姿勢: ストーリーボードはチームで共有するものであり、他者からのフィードバックを受けることが重要です。建設的な意見をどのように反映させ、より良いストーリーボードにするかを教えます。

    教える順番のまとめ

    1. 目的の理解
    2. シナリオの解釈とシーンの分解
    3. カメラワークの基本
    4. 構図とレイアウト
    5. キャラクターの動きと表情
    6. シーンの繋がりとテンポ
    7. 映像言語の使い方
    8. ライティングと影の活用
    9. 音響や音楽の考慮
    10. フィードバックの受け入れ方

    新人には、まず基本的な要素を学ばせ、徐々に複雑な技術やクリエイティブな要素に移ることで、全体的な理解を深められるようにすると良いです。

    とのことだった。
    かなりそれっぽい。
    イマジナリーラインについて触れられていなかったので、

    あなた:イマジナリーラインについて教える場合、上記の項目の中の何処に追加するのが良いですか?
    と質問すると以下の答え。

    ChatGPT:
    「イマジナリーライン(180度ルール)」は、カメラワークの基本シーン間の繋がりとテンポに密接に関連しているため、これらの項目の間に追加するのが良いです。
    具体的には、以下の位置に追加することを提案します:

    3.5. イマジナリーラインの理解

    • 180度ルールの説明: イマジナリーラインとは、シーンにおけるキャラクターやオブジェクトの位置関係を保つために、仮想的に引かれる線のことです。カメラがこのラインを越えて位置を変えると、観客がキャラクターの位置関係や動きを混乱する可能性があるため、基本的にはラインを超えないようにします。
    • シーンの連続性: イマジナリーラインを守ることで、視覚的な連続性が保たれ、観客が自然にシーンを理解できることを教えます。
    • ルールの活用と破り方: ルールを意図的に破って感情の変化や混乱を演出する方法もあるため、その使いどころについても説明します。

    このように、カメラワークの基本に関連した要素として教えるのが最も自然で効果的です。カメラアングルや視点と密接に結びついているため、このタイミングでイマジナリーラインの概念を導入すると、より理解が深まります。

    なるほど…と感心。
    これをさらに詳細にしたアイデア出しもしてもらったのだが、一般的に教えていそうな項目を多数並べてくれた。
    が、詳細になるほど抽象的になっている印象。
    しかし、根本的なことには何も触れられないまま、理屈めいた映画の理論が教えられていることは今も普通に起こっていそうな気がする。

    そもそもの話ではあるのだけれど、映像文法は数学のようなものではない。
    音楽のメソッドなどに近い。
    短調は長調に比べると暗く聞こえる、と言われているが、それは数学の法則のように理由が説明されているわけではない。(認知心理みたいなもので説明を試みられてはいるのかもしれないが)
    ポップスのコード理論なんかも、こういうフワッとした経験知的なものをベースに作られていると思うのだが、映像文法も似たようなものだと思う。
    ほとんどの事は経験的な感覚を下敷きにして作られているので、時代によって変わることもあるだろう。
    歴史、積み上げてきたものが大事なのだ。

    理論は割とフワッとしたまま、感覚だけで作品を作っている演出家も少なくはないと思う。
    私も大学で多少教育は受けたもののかなりフワッとしたまま、言語化しないまま仕事をしている部分も多い。
    しかし、経験に頼りすぎるのは若い人が演出を学ぶ時、人によってはえらく時間がかかってしまう原因になりやすいように思うし、全く出来ないまま終わるということにもなりかねない。
    映像文法は今まで人間が「映像から物語を理解する」にはどうしたら良いかという経験知の集積なので、そういう意味で有用だと思う。
    私は映像文法の基本部分は極めて簡単だと思っていて、骨格だけ覚えたら、あとは経験値で膨らませ応用を考えていく他にないように考えている。

    GPTが挙げていることは重要だが、「物語を映像で表現する」ための方法という映像全般の技術の中の限定的な分野の事でしかないので、全部を理解している必要はないし重要度も項目によってかなり違う。
    4の構図とレイアウトについてなどは私の場合はかなりいい加減に考えている。

    色々整理しながら、初学者が分かりやすいようにと、形式主義に陥らないように演出の基本をストーリーボード(絵コンテ)作りから学べるような方法を考えてみようと思う。

    まずははここまで。