時間が経てば大人になったり忘れたり、だいたいのものは変わっていくものだけれど、何かしらずっと残り続けたり変わらないことを発見すると、それは特別なのだということが伝わる。
その変わらないものに自分が関与している時、嬉しい様な申し訳ない様ないたたまれないような、なんとも言えない気分を感じることがある。
自分が関与していたとて、それはその人のものでその特別はその人が作りあげたものだから私の手柄では無い。しかし関わってしまっていて、あまつさえ感謝されたりするのは重たくのしかかってくる様に思えることもある。
自分に、これ以上出来ることはあまり無いと思うと途方にくれる。
しかし、その何かしらの特別を人の中に発見した時、もう少し頑張ろうか、という気も少し湧いてくる。
途方に暮れつつも探り探り、もう少し歩いてみようか。
週末に下地紫野のライブに行った。
何か溢れて言葉が出てこず会わずにそのまま帰った。
良いものを見た。
月: 2025年2月
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Precious【2025年02月25日】
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ストリーボード作成で学ぶ演出(のための準備)【04】「映画理論講義」
いろいろ探してみたけれど一般書で出ている映画理論の入門的な本は殆どなくて、2000年に勁草書房から出たこの本くらいしか見当たらなかった。今も新しい刷りで売り続けてるので参考に良さそう。
映画理論講義 –映像の理解と探究のために著者:
ジャック・オーモン
アラン・ベルガラ
ミシェル・マリー
マルク・ヴェルネ訳者:
武田 潔目次:
序論 …………………………………………………………………………………. 3
I 映画文献の分類 ……………………………………………………………… 5
1 “一般的な”の出版物 ……………………………………………………. 6
2 映画狂のための書物 ……………………………………………………. 7
3 理論的著作 ……………………………………………………………… 8II 映画理論の諸相 ……………………………………………………………. 10
1 “内発的”理論 …………………………………………………………. 10
2 記述的理論 …………………………………………………………….. 11
3 映画理論と文学 ……………………………………………………….. 11
4 映画理論と技術的実践 ………………………………………………… 12
5 映画理論の多様性 ……………………………………………………. 12
注 ……………………………………………………………………………… 15第1章 視聴覚的表象としての映画 ………………………………………….. 19
I 映画的空間 ……………………………………………………………….. 21
II 奥行きの技巧 …………………………………………………………….. 32
1 遠近法 …………………………………………………………………. 32
2 被写界深度 ……………………………………………………………. 35
III ショットの概念 ……………………………………………………………. 41
IV 聴覚的表象としての映画 ………………………………………………… 48
1 経済的=技術的要因とその歴史 ……………………………………… 48
2 美的およびイデオロギー的要因 ……………………………………… 49
注 ……………………………………………………………………………. 55第2章 モンタージュ …………………………………………………………… 61
I モンタージュの原理 ………………………………………………………. 63
1 モンタージュの対象 …………………………………………………… 67
(1) 映画作品の一部分(映画的連辞)でショットよりも
大きいもの …………………………………………………………. 67
(2) 映画作品の一部分でショットよりも小さいもの …………………. 68
(3) 映画作品の一部分でショットへの分割と(完全には)
一致しないもの …………………………………………………… 69II モンタージュの機能 ……………………………………………………… 76
1 経験的アプローチ ……………………………………………………. 76
2 より体系的な記述 ……………………………………………………. 78
(1) 「創造的」モンタージュ ………………………………………….. 79
(2) 統辞的機能 ………………………………………………………. 80
(3) 意味的機能 ………………………………………………………. 80
(4) リズム的機能 …………………………………………………….. 82
(5) モンタージュの分類法 …………………………………………… 83III モンタージュのイデオロギー …………………………………………… 83
1 アンドレ・バザンと「透明性」の映画 …………………………………. 84
(1) 「禁じられたモンタージュ」 ………………………………………. 85
(2) 透明性 ……………………………………………………………. 87
(3) つながりのためではないモンタージュの拒否 ………………….. 91
2 セルゲイ・エイゼンシュテインと「映画の弁証法」 …………………. 92
(1) 断片と衝突 ………………………………………………………. 97
(2) モンタージュの概念の拡張 …………………………………….. 97
(3) 観客に対する影響 ………………………………………………. 97
注 ………………………………………………………………………….. 100第3章 映画と物語 …………………………………………………………… 105
I 物語映画 ………………………………………………………………… 107
1 映画と物語の出会い ………………………………………………… 107
2 非物語映画――境界を定めることの難しさ ………………………. 109
(1) 物語的/非物語的 …………………………………………….. 109
(2) 境界の基準 …………………………………………………….. 109
3 物語映画――研究の対象と目的 …………………………………… 111
(1) 研究の対象 …………………………………………………….. 113
(2) 研究の目的 …………………………………………………….. 113II フィクション映画 ………………………………………………………… 115
1 あらゆる映画はフィクション映画である ……………………………. 119
2 指向対象の問題 …………………………………………………….. 119
3 物語言表、物語叙述、物語世界 …………………………………… 121第4章 映画と言語活動 …………………………………………………….. 187
I 映画言語 ………………………………………………………………… 189
1 古くからある概念 ……………………………………………………. 190
2 初期の理論家たち ………………………………………………….. 192
3 「映画の文法」 ………………………………………………………. 197
4 映画における言語活動についての古典的理論 …………………… 201
(1) 伝統的な映画言語 …………………………………………….. 202
(2) 言語活動の消滅に向けて? …………………………………… 203
5 記号なき言語活動 ………………………………………………….. 206II 映画――言語か言語活動か? ………………………………………… 209
1 映画的言語活動と言語 …………………………………………….. 210
(1) 言語の多様性と映画言語の一律性 …………………………… 211
(2) 言語活動、コミュニケーション、極の入れ換え ……………….. 214
(3) 映画言語の類同的なレヴェル ………………………………… 215
(4) 線状性と離散的単位の存在 ………………………………….. 216
はい、続きをお送りします:(5) 映画における分節の問題 ………………………………………. 216
2 映画の理解可能性 ………………………………………………….. 218
(1) 知覚的類同性 ………………………………………………….. 219
(2) 「質料的希釈のコード」 ………………………………………… 221
(3) 映画特有の記述形式の形象 ………………………………….. 223III 映画的言語活動の不均質性 ………………………………………….. 228
1 表現素材 …………………………………………………………….. 228
2 記号学におけるコードの概念 ……………………………………… 230
3 映画に固有なコード ……………………………………………….. 232
4 映画に非固有なコード …………………………………………….. 235IV 映画作品のテクスト分析 ………………………………………………. 237
1 「言語活動と映画」における「映画作品のテクスト」という概念 …… 238
2 実例――D・W・グリフィスの『イントレランス』
におけるテクストのシステム ……………………………………… 240
3 文学の記号学におけるテクストの概念 ……………………………. 242
4 テクスト分析の抑制性と理論的射程 ………………………………. 248
(1) テクスト分析の主要な特徴 ……………………………………. 248
(2) テクスト分析における具体的な困難 …………………………… 251
注 ………………………………………………………………………….. 259結論 ………………………………………………………………………….. 351
注 ……………………………………………………………………………. 359参考文献(I、II)……………………………………………………………. 363
用語対照表 …………………………………………………………………. 403
索引(人名、映画題名、事項)…………………………………………….. 417
訳者あとがき ……………………………………………………………….. 453原書は初版が1983年、改訂が94年らしいので30年くらい前にフランスで出版されたらしい。
私が学生の頃なので参考で扱ってる映画も古いがまあ仕方ない。
少し読んでみたが凄く抽象的な部分はあるけど、使えそう。
映画評論はずいぶん沢山出ているし理論的な更新みたいなものは無いのか?と思うけど無いのかもしれない。
渡邊大輔が言ってることなんかは新しいと思うけど、入門としては必要ないのか…いやそうでもないような。
YouTubeはじめ映像メディアは様々広がっているので本当は更新されて良さそうだが。
学校などでは、どういう本を教科書で使っているのだろうか?
私が見つけられないだけで、良い本があるのかもしれない。
フィルムアート社から出ている入門書的なものは実務的だけど理論が薄そう。パラパラめくってみただけなんでわからないが。
認知科学とかも随分進んでいるので、その辺りを引いたものもありそうなものなのだが。
その辺を調べ出すと無限に時間がかかりそうなので躊躇してしまうが、多少はやらないとダメそうだ。
そのあたりは良さげな本のあたりがついてるので。
私が学生の時は、ほしのあきら「フィルムメイキング」を使ってた。本人が講師だからだが。
エイゼンシュタインの理論などは、ぱらぱら読んだけど流石に嘘でしょみたいな部分も多くて今素朴には読めない。
「映画理論講義」はそのへんもざっくり整理してあるみたい。とにかくざっくりでも読まないとなぁ…。
実務的なものは他にも良さげな本があるので、参考にしようと思う。最近の学生はそういうのを読んでるのかもしれない。
映画記号論的なものはだいぶ前に死滅してしまったようで、理論書は流行らなくなったのかも。
私が教わった浅沼圭二で終わってるぽい。
映画分析的な本は色々ある。
苦手な蓮實重彦もめくってみるべきなのかもしれないが。
私のやろうとしてることも、どちらかというと実務寄りだし。
久しぶりに更新。 -
1995年【2025年02月17日】
1994の年末辺りからアニメ制作会社で働き始めた記憶があるので丸っと30年くらい経つのだと思う。
よく続いたものだ。
記憶が薄れかけているので当時のスタジオについて思い出してみる。
最初(で最後)に入った会社はスタジオ・ジュニオをという老舗のスタジオだった。老舗だというのは入るまでは知らなかったのだが。
私の入った班は元ドラゴンボールの制作班を母体にしていて、監督だった岡崎稔さんの管理する班だった。
社長は香西隆男さんだったので岡崎さんの役職が何だったのか分からないままなのだが、後に別れて今のシナジーSPという会社になり、そこでは社長だった。
私は演出助手(兼制作)という当時にしては特殊な形態で採用された。
最初から演出助手で採用している会社は多分なかったのではなかろうか。
当時私の入った班は合作と呼ばれるアメリカのカートゥーンの下請けと日本のテレビのグロス受けという2本柱で回していたようだ。
グロス受けとはテレビシリーズの中の1本を個別に下請け制作する仕事。
合作の演出は一休さんのキャラクターデザイナーだった我妻宏さんが担当していた。
合作は日本のテレビシリーズであれば原画単価1カット3千数百円だったが、秒単価で5千円くらい出ていたと記憶しているので、比較的に割の良い仕事だったのだろう。
1カット3千数百円は衝撃的に安いな、と思ったものだ。
当時は月に40カットくらい描く原画マンはまだ沢山いて、それはそのくらいやらないと食べていけないから引き受けていたのだけれど、40カットやっても20万にも届かない。
私の給料も初任給たしか12万くらいで安かったが、アニメーターに比べれば遥かに安定していた。
TBSの初任給が20万位と求人票に書いてあった時代。
入ったばかりの頃、私は自動車の免許を取得中で、制作の仕事は殆どまともに出来なかった。
同僚の制作たちも、変わった待遇で基本17時か18時頃に退社でOKな超ホワイトな扱い。
ホワイトだが、制作の仕事が円滑に回っていたとは言い難そうだった。
当時のジュニオは3つの建物に分かれていて、それぞれ全く別の仕事をしていたという訳でもないが私の班は独立していた印象。
岡崎さんがスタジオで気楽に使える演出が欲しくて私を採用したのだろうと思う。
入ったばかりの頃、岡崎さんの(多分取引先とかを見せるための)ドライブに付き合って、いいとこを見せてやろうとしたのかお台場に移る前のフジテレビに連れて行かれた。元ドラゴンボールの担当Pが突然の訪問に困惑しながら対応していたのが面白かった。
当時の岡崎班の構成は、ベテランに我妻宏、前田実。中堅は堀内修、佐藤正樹、久保川美明。若手が高田晴仁、槙田一章、安彦英二、他数名で基本アニメーターしかおらず会社の仕事をしている人も少なかった。
出入りしていたフリーの演出家は大関雅幸氏だけで、私は彼の担当していたレッツ&ゴーの撮出しを手伝ったのが割と最初の仕事だった気がする。
もちろん撮出しとは何なのかは殆ど教えてもらわなかった…。
誰も教えてくれないので怒られつつ覚えるという方法でしばらく生き延びる。
初めての演出と呼べる仕事は、入社して数ヶ月後だったかの公共広告みたいな仕事で、ごみはみんなのたからもの、みたいなタイトルだった気がするけれど右も左もわからないのに絵コンテと演出までやらせてもらった。
岡崎さんは良くも悪くもいい加減だったので、入社半年後くらいには今のおじゃる丸なんかやっているNHKの帯番組の「はりもぐハーリー」という作品の半パートを絵コンテ演出して、それがテレビアニメデビューなのだが出来はもちろん酷かった。
とはいえ、オンエアを楽しみに見たところ私の名前は無い。
1話の前半と後半で話しが違う2本立ての作りだったせいで両方とも私ではない別の演出家の名前をクレジットしてしまったらしい。というわけで、デビュー作に今でも私の名前のクレジットはなくwikiなどにも別の演出家が記載されている。
暗澹たる船出。
まあ、私はあまり気にならず、とりあえず作ったものが世に出たことが嬉しかった。
そのあと、まともに仕事ができる様になったと思えるまで10年くらいかかった。
とりあえずここまで。 -
嘔吐・シビルウォー【2025年02月09日】
結局うちの辺りは雪は降らずで助かった。
しかし風が強いので寒さが沁みる。
週明けからは少し暖かくなるという予報だが…。
久しぶりに腰痛が出ているので散歩に行きたい(少し運動しないと治らない)のだが、寒くて外に出る気力が全く湧かない。
今日は植物を買いに行くという理由をつけて久しぶりに少し歩いた。
仕事は終わらないし、打ち合わせか買い物でもなければ外に出るきっかけが無いので何か歩く口実を作らないとまずい。
忙しいと椅子で居眠りしたり、うっかり床で横になったりで腰をやってしまうことは良く有って、気をつけていても、猫に構え構えとせがまれて遊んでるうちにうっかり床で寝落ちて後悔したり。この世の終わりの様な声を出して廊下で鳴かれては集中できない。
新しい文芸誌GOATに載っていた小川哲の「嘔吐」を読んで爆笑した。
女性小説家を推してるファンの炎上騒動をネタにしてSNSあるある言説が書かれていて笑うと同時に頭がを抱える。
ネット上のライトで真面目に読むに足らない批判だが微妙に痛いところを突いてくる感じなどがうまく再現されていて苦笑。
ラストの切り捨て方は笑えるのだが、現実はああバッサリといかないか。
筒井康隆の「大いなる助走」が読み返したくなった。
シビル・ウォーアメリカ最後の日を仕事しながら見た。
映像はとても良くできている。
戦闘シーン、残虐シーンは割とストレートに血みどろでネット上に溢れかえる残虐シーンを見慣れている人間にも説得力を感じさせる。
しかし、肝心なことは何も言ってない言わない感が強すぎて虚無。
ジャーナリストが主役なのだが、肝心の内戦がどうして行われているのかという事には全く触れないので沢山描かれる死も娯楽的な要請以上のものは無い。
最後まで重要なことは何も言わないまま見せ切る脚本力は大したものなのだが仏作って魂入れずの典型に見える。
マウリポリの20日間の方が残虐シーンはあまり無いもののよほど恐ろしい。
仕事しながら起きていたのでトランプ大統領と石破首相の会見を見ようと思っていたら少し寝落ちしている間に終わっていた。
石破氏が68でトランプが78。元気だなあ。
仕事のトラブル諸々は何とかなりそう。
劇伴ラフが出来た。良い感じである。 -
雪が降るとか【2025年02月01日】
2月になった。明日は雪が降るというので地植えのプリムラジュリアンとアネモネの上に不織布をかぶせておいた。
アネモネは寒さに強いので放っておいても別に平気なのだが綺麗に咲いてるのと花芽も上がっているので雪で潰れないようにするため。
しかし降らない方が良いなぁ。
特に外に出るというわけでもないのだけれど、雪かきなどは面倒である。
むかし大学受験に出てきた時に雪が降っていて、なんで東京なのに雪があるんだよ、と憤った記憶があるが、この時期は最近とくに積もるくらい降ってる年が多い。
今年は日本海側は大雪で大変そう。
新潟に住んでいた頃、小学生くらいまでは毎年結構積もっていた気がするが、年々積もる量は減っていたのじゃないだろうか。
2月に入ったらだんだんあったかくなってしまうので、いちじくを早く植え替えないと。
今週はトラブルが湧いたり消えたり。
作品を作っていれば何かしらトラブルはつきものだが、ベテランスタッフの体調トラブルは、もはやこれから避けようがなくなるんだろうな。
暑さ、寒さは体に障る。
町屋良平「生きる演技」をゆるゆると読む。
芥川賞を取った作品が面白かったので。
文体が脚本のようで読みやすい。
モチーフが少し苦手だが。
新しく出た小学館の文芸誌もゆるゆると。
欲しい本が幾つかあるので買いに行きたいが、出かける余裕があるのか…?フジテレビの10時間会見を全部見た人はいるのだろうか。
倍速でみても5時間。
YouTubeでイスラエル大使が会見しているのをぼんやり眺めていたがガザをリビルドすると言っていたが、リビルドされたそれは果たしてガザなのか。
しばらく暇したい。