月: 2023年9月

  • 育ててはみたけれど【2023年09月23日】

    育ててはみたけれど【2023年09月23日】

    ジブリが日テレの子会社になったそうで。今までは子会社じゃなかったのか…と思うほど近い関係だという印象だった。

    宮崎さんも、まだ作る意欲があるようだけど、さりとて体力は衰えていくばかりだろうと思うと大きな会社と組みつつ今後を考えるのは自然ななりゆきなのだろう。

    で、子会社になりましたよという鈴木敏夫さんの記者会見の記事を読んでいると、後継者作りに悉く失敗したというようなことを仰られていた。

    はて、そう言われると確かにジブリの看板を背負って作り続けると言えるクリエーターは居ないのかもしれない。宮崎吾朗さんは違うのかな?

    後継者は出なかったのかもしれないが、若い人を育てるのに失敗したのかというとそんなことは全くない。

    ジブリで育ってジブリを出て活躍している方は大勢いるわけで。

    後継者作りにことごとく失敗した、という鈴木さんの弁は少し大雑把なのではなかろうか。

    私もジブリが演出を育てようと始めた塾の出身。

    私が入った塾は高畑勲さんが塾長をしていた。

    入って早々、高畑さんはジブリで育とうとかはあまり考えない方が良いと思う、というような事を言っていてたと思う。

    さもありなん、ジブリの作品の予算は新人の演出家が背負える様な規模ではない。

    ジブリに限らず、会社が新人のクリエーターを育てるというのは大変でなかなか上手くいかない。

    育ったと思ったら出て行ってしまったり、リスクも大きかった。

    とはいえ、継続的に作品を作っている会社からは、それなりに人が育っていると思う。

    回遊魚みたいに色んな現場を回っていて、ひと所になかなか居付いていないと思うけど。

    京都アニメーションなんかは比較的に人を育てるのに成功しているのじゃなかろうと思うし、多分少しづつ会社に居続けてくれるようなクリエーターを作る試みは広がっていて成功しつつあるところもあるよいに思う。

    鈴木さんの記者会見ではテレビシリーズの制作も視野に入れているというような発言もあったし、上手くいけば新しい人材が育っていくのだろう。

    ブランドを維持するためには大きなチャレンジが必要なのだろうと思うけど、成功を祈りたい。

  • もののがたり最終回【2023年09月19日】

    もののがたり最終回【2023年09月19日】

    納品は随分前に済んでいたのだけれど、本日もののがたりの最終話が放映された。

    見ていただいた方には感謝。

    原作は完結しているので、あの後の物語は是非原作で読んでください。

    面白い原作だったから引き受けたので、アニメが面白かったのであれば原作はまず楽しめる筈。

    同時期に受けた原作ものの仕事のテーマに両方「家族」が関わっていたのは偶然だけれど面白かった。

    全ての物語は「家族」について書かれているという様なことを言う人もいるけれど、なるほど分からんではない。

    毎回、色々な人にお世話になりつつ作っているけれども「もののがたり」はアイカツチームが主力。

    音楽方面も見知った顔が沢山。感謝。

    ここ2、3週間は緊急のコンテのお手伝い。

    テレビシリーズをやっていると、どうしたってアクシデントは付き物で助け合いは良くあること。

    おだやかに終わる仕事はなかなかないもので…。

  • 最近の読書【09月01日】

    最近の読書【09月01日】

    辻田真佐憲「戦前の正体」「文部省の研究」

    島薗進「教養としての神道」

    石田美紀/キム・ジュニアン編著「グローバル・アニメ論」

    明治維新で新しく作られた伝統みたいなものを全然わかっていない、ということがよく解った。

    明治維新から150年くらいしか経っていないと思うと、変わらない日本人の心性みたいなものもそりゃあるよね。

    「教養としての神道」は神道の細かなディティールが少し読みづらいけど、土着の宗教としての神道がどのように生き残ってきたのかというのはとても面白い。

    明治維新以前は神仏習合であったことなど全く知らず…。

    無教養である。

    宗教関係の本も色々読んでみたいものの、沼が深いので少しづつかな。

    仏像にも興味が湧き石井亜矢子「仏像解体新書」を買ってみた。これは図版がたくさん載っていて分かりやすく仏像を解説していて面白そう。

    山本聡美「九想図をよむ」(増補カラー版)も大変おもしろそうだが、こちらはかなり労作の研究書なので真面目に読むと大分骨が折れそう。九想図というのは、死体の変化を九段階にわけてイメージして自他の肉体への執着を滅却する九想観という仏教の修行に由来する画題だそうな。こちらも図版多数。

    「グローバルアニメ論」は論文集。「持永只仁の家族アーカイブから読み解く協力者としての子供観客」ジェーソン・コーディ・ダグラスが非常に面白かった。他の論文もなかなか興味深い。一つ一つは短めの論文なので読みやすいかと思う。

    あとは久しぶりに映画館へ。「Berbie」を鑑賞。大味だが面白いと思ったものの興行はアメリカに比べると大分奮っていない様子。そもそも日本でバービーで遊んだと言う人は少ないだろうから仕方ないかもしれない。バービーの小ネタが満載(多分)だが遊んでないとピンとこないかも。日本人にはニュアンスが伝わりづらい諧謔も沢山あるような気がする。しかし新宿の東宝では女性客がかなり入っていて啜り泣く声さえ聞こえた。冒頭の2001年宇宙の旅のパロディーは面白かったがターゲットの客へ響くのか?と言う気はした。私には分からない他の映画のパロディーもあったかもしれない。