山は越えた…と思いたい【2025年10月12日】

ここ2週間は演出している話数のマーキング用のレイアウトチェックとオールラッシュ、打ち合わせなど仕事が山積でへとへとに疲れた。

なんとかマーキングは終わったので、レイアウトを仮チェックのままにしているものなどを出し切れば一息つける、はずだったのだが他話数の手伝いをしなければいけなくなった。

気分的には、大変なところは過ぎたのでよし。


紙媒体のレイアウトをデジタルでチェックするのは、とても手間だ。
タイムシートを直すにしても、紙で書かれたタイムシートをスキャンした画像データでは鉛筆で書かれた絵のタイミングと何秒何コマなど表す印刷されたフレームが一緒くたに画像になってしまっているので鉛筆のデータだけ消したい場合も、フレームごとごそっと消えてしまう。

逆にデータで書かれたタイムシートを紙に印刷しなおした場合も、タイミングのデータだけ消すことはできないので直したいときは全部書き直す羽目になる。

いずれは紙は基本的に使われなくなくなるだろうが、この混交した状況はあと数年変わらないと思われるので少し気が滅入る。

もともと効率化とは程遠い様な仕事だが、すべてデジタル化してしまえば色んな部署で省力化出来ることが少し増えるはず。


voilの若いアニメーターたちは全員デジタル作画。
比較的みんな、しっかりとした絵と動きを描いていて感心した。

良い人だけを採用するというのは、なかなか難しいので社内の育成がうまくいっているのだろうと思う。

昔は、よほどのスタジオでなければ新人は結構画力の差が激しい印象だった。
もともとの粒が揃っているということもあるのだろうか。

ネットでうまい絵を見られる機会は圧倒的に増大していて、その影響があるような話は時々聞くけれど。


演出の方はどうなんだろう。

最近、ほとんどテレビアニメは見ていないので演出の技量のアベレージみたいなものが全くわからない。

自分の仕事の中で出会う人は、まあ大体普通というか年齢やキャリア相応の力量や悩みを抱えているといった印象。

制作からは演出の技量が落ちているような話はよく聞くのだが、明確に自分で実感してはいない。ベテランたちが体力的に辛くなってきているのは実感している…。

金曜はアイカツ×プリパラの初日で19時の回の上映後の舞台挨拶に呼ばれて見てきた。

女の子のファンがちゃんと来ていて楽しんでいた様子だったのが印象的。
通路を挟んだ隣に座っていた子は上映後に目元を拭っていた。

舞台挨拶の中で両方の作品見ていたかの問いかけに結構手を上げている人がいて、意外な驚きがあった。

少し裏に挨拶に行き、下地紫野嬢がいつになくテンションが高めで何だかありがたい気分を味わう。もう作品が終わって10年近く経っているのだ。

映画はステージてんこ盛りで、ファンなら誰でも楽しめるだろう。

舞台挨拶は結構な回数やる様で、監督の大川くんは毎度の様に引っ張り出されるので、これでだいぶ慣れるだろう。
初日はやはり若干緊張気味だったと思う。
自分の時のことを思い出す。

あまり自分ではわからなかったが、ずいぶん緊張していたと思う。

呑んで帰りたかったが、最近酒が残るのでそのまま帰宅した。

ロロ「まれな人」【2025年09月29日】

土曜ロロ「まれな人」観劇。渋谷ユーロライブ。
いつもの内古閑さんと。
「BGM」の様な人情噺。良かった。

直木賞作家とその編集担当が、ひょんなことから作家の中学生の頃の友達を探すことになるが、という出だし。

会いたいが会えない。

会えないまま思い出すという行為の中で、友達は鮮やかに蘇り、触れそうに近づいたところで友達は出会いを拒否して、しかし作家の中に色褪せずに残った。


出会って仕舞えば浦島太郎の様に、時間は白い煙となって吹き出して否応なく目の前に突きつけられる。
魔法が解かれることを拒否するには会わないという選択をするしかない。

私も玉手箱はあまり開けたくない方かもしれない。

日曜はJAniCAの仕事。
レプリカの仕事も立て込んでいる。
しかし二日酔いっぽくだるい。

夜中にウチのオス猫2匹が大騒ぎをしていた。

若い方が年嵩の方を追いかけ回して(本人はじゃれついてるつもりと思われる)年長猫は悲鳴をあげていたのだが、年長猫の方が明らかに体格がいいし、本気で戦えば勝てると思うのだが、どうもそうはならない。

関係性が固定化されてしまうと、そこから抜け出すのは心理的に難しいということなのか?

不思議だ。

9月も終わりかけ。

少し涼しい日が増えた。

寄せ植えにしたジニアの一つが枯れたので黄色と黄緑、2本のセロシアに植え替え。

他にもいくつか植え替えた。

春の終わりに買った宿根草は夏越しがうまく出来ずほとんど枯らしてしまったので秋にでているものを見に行きたい。

先週はレプリカの初ラッシュ。

同じ日にあったプリパラ・アイカツの初号にはいけず。

映画館で見るのを楽しみにしておこう。

舞台挨拶・いつ高【2025年06月22日】

週末は久しぶりに舞台の観劇。
三鷹でロロのいつ高シリーズの再演。
キャストは新しくなり、一緒に行った内古閑さんによるとアレンジもかなり加わっていたらしい。
期待通り面白かった。

舞台での役者の芝居は勉強になる。
特に日常をモチーフにした芝居は手の使い方や立ちポーズなど参考になることが多い。

アニメで人間の役者の様な芝居をさせるには、やはり手間や画力などの問題で相当に難しいと思うが、それでも上手く切り取れば可能だと思う。

リアルかどうか、ということではなく、人間が感情の発露や人に物を伝える時にやっていそうな体の動きをそれらしく作り出したい。

ロトスコープを使ったからリアルになるという物でもなく、上手な役者はリアルでないとしても「らしさ」で何かをうまく伝える術を持っているように思う。

上手いアニメーターもそうだろう。

映画を見ているよりも、常に全身が見える舞台の方が役者の技術をわかりやすく感じることができる。

帰りに喫茶店で内古閑さんと話し込み、長居しすぎて店員なのか店主なのかおじさんに追い出される。

久しぶりに会って積もる話が尽きなかったもので。

日曜は午前中にアイカツ!メモリアルステージの舞台あいさつ。

下地嬢、川上嬢と登壇。

客席には知り合いの大学生のリアルファンだったお嬢さんも来てくれていた様で嬉しい限り。

楽屋の雑談で、横浜で開催中の衣装展に来てくれているお客さんも、ほとんどが女の子と聞いた。

劇場にも結構女性ファンが来てくれていた。

10thの時でしばらくこの手の登壇も無くなるだろうと思っていたが、忘れた頃に呼ばれて記憶を掘り起こすきっかけになっている。

とはいえ、どんどん制作時の記憶は遠のいているので今後も話すことができるのか自信はあまりない。

帰り道、ついでにとセール中の近所の園芸店に立ち寄ったのだが、あまりの暑さに少し熱中症気味になったしまった。

千日紅とPWのユーフォルビアとリーフを買う。
ホスタとかは欲しいと思ったが重くなるので諦めた。
オージープランツなんかは殆ど売れてしまっていた様だ。

家に帰って花壇を眺めてから、もう少し買ってくればよかったかなと思ったりする。

花がほとんど終わったバーバスカムは引っこ抜いて何か他のものを植えよう。

しかし、作業できるとしたら週末になりそう。

買ってきた苗も放置になりそうだが、あまりに暑いので心配。

あ、アメリカがイランの核施設を攻撃したとか…。

どうなることやら。

会議の前のサイン会【2025年04月25日】

数日前、撮影のビジュアルイメージを決めるための会議があるので会議室で待っていたら撮影監督がやってきた。
少し早めの時間だったので、まだ他のスタッフは来ていない。
辺りを見渡し「ちょっとお願いが…」と言われ、え?何事とと身構えるとやおらカバンの中からアイカツ!のブックレットが出てきた。
というわけで、サインと写真撮影をサービス。
あまりスタッフからサインを求められることはないけれど、聞けば古参のファンでだいぶ入れ込んでくれている様子。

わかっていれば、もう少し綺麗な格好していったのだが、適当な服で無精髭も少し伸びている。

まあ、喜んでいたようなのでこれで仕事に精を出してもらえるなら安いもの。

ありがたい。

ラジオに送り損ねたファンメールをくれたお嬢さんへ【2025年04月13日】

メール拝読しました。

ありがとう。とても嬉しかったです。

このブログを読んでくれると信じて、ここで簡単ですが返信します。

アイカツが好き、というその言葉にいつも我々は励まされています。
テレビの前に座っている30分ほどの間だけでも、見てくれた人が楽しければ良い。と、小さな野望を目標に私たちは番組を作っていました。
テレビの初回から10年以上経って、まだファンから覚えていてもらえる様な作品ができたことは望外の喜びです。

作品を作っているとき、果たしてこのアニメーションが何か人に喜びを与える事ができるのか、絶望を和らげる事ができるのか、不安でならないというのは大袈裟ですが、確信を持っていることは有りません。

作品が観客に出会って生まれた思いを我々が知り得る方法は限られています。その思いの一端を知り得る事が出来て、しかもそれが前向きなもので有るということは我々に勇気を与えてくれます。

星宮いちごに負けず劣らずドラマティックなあなたの人生に少しでもアイカツが加勢できたのなら、こんなに嬉しいことは有りません。


さて、アニメ業界はいまだに胸を張っておいでなさい、といえるような場所ではないですが、昔よりは随分過ごしやすくはなりました。
また、この業界は狭いもので出会いもそこかしこに転がっていると思います。

激動の世界の中で、日々やりたいことや、やれる事が変わっていくのはよく有る事だと思いますし、まずは気楽にやってみる、というは星宮いちごの精神でもあり、私の心情です。

ダメなら引き返せば良い。

あなたの道に幸があることを心より祈っています。

アイカツ!監督 木村隆一

植物日記・ラジオ出演・緊張の初作業【2025年04月10日】

しばらく前の雨で痛んでいた地植えのプリムラジュリアンは、やはり復活せず。残念。
近くに植えていたアワユキエリカ・プリティーレッドも気づいたら枯れかけていて、これも多分雨の影響。

アネモネはたくさん花が上がってとても華やか。
ラナンキュラスは花が大きくて持ちもよく、春を彩っている。

蕾は沢山上がっているのに全然咲いてくれなかったオステオスペルマムも花弁が開き始めて咲いてくれそう。温度か日光の問題だったのかもしれない。

買ったまま植え替えていない苗が沢山あるのだが、暖かくなってきてしまって早く植え替えないとまずい。
ビニールポットは水切れが早くて、気をつけていないとすぐ調子が悪くなってしまう。
土を買ってこないと植え替えできないのだが、買いに行く暇がない。
週末にはなんとかしたい。

日曜に出演したラジオ番組が流れた。
来週も私がゲスト。
依頼が来て収録まで間がなく放送も近かったので大丈夫なのかと思ったが割と楽しく話せた。
ラジオに出たのは10年以上前にアイカツ!の番宣的にニッポン放送のミューコミに出て以来だと思う。
スタジオの作りは結構違っていて、スタジオの一角に調整卓がありディレクターなどもそこにいた。
収録用のスタジオだからなのかもしれないが、いろんな形があるんだなと知る。
MCの檜山さんは非常に穏やかで良い方だった。学生の頃アイカツスターズ!を見てくれていたとか。
共通の趣味があったのだが、それは来週のネタとして使われていると思う。
たまに喋る仕事は刺激になって楽しいのだが、ラジオの仕事とか来ないだろうか。
私だけじゃ聞く人いないだろうけど。

月曜は緊張の初作業。
アニメ制作の一部ではあるけど、自分ではやったことのない役職を担当することになり、最後までアワアワしてなんか頭が真っ白になった瞬間もあったが、予定より早めに終了する事が出来たので周りは上出来だろうと思ってくれた様だ。
もう少し細やかに何か出来たのではないかという後悔はあるが、悪くはないものになっている筈。
来週はもう少し落ち着いて出来ると思う。

久しぶりに非常に緊張感のある仕事になっているが、上手くいけば良い作品になる予感を強く感じている。

Precious【2025年02月25日】

時間が経てば大人になったり忘れたり、だいたいのものは変わっていくものだけれど、何かしらずっと残り続けたり変わらないことを発見すると、それは特別なのだということが伝わる。

その変わらないものに自分が関与している時、嬉しい様な申し訳ない様ないたたまれないような、なんとも言えない気分を感じることがある。

自分が関与していたとて、それはその人のものでその特別はその人が作りあげたものだから私の手柄では無い。しかし関わってしまっていて、あまつさえ感謝されたりするのは重たくのしかかってくる様に思えることもある。

自分に、これ以上出来ることはあまり無いと思うと途方にくれる。

しかし、その何かしらの特別を人の中に発見した時、もう少し頑張ろうか、という気も少し湧いてくる。

途方に暮れつつも探り探り、もう少し歩いてみようか。

週末に下地紫野のライブに行った。
何か溢れて言葉が出てこず会わずにそのまま帰った。
良いものを見た。

仕事正月【2025年01月06日】

久しぶりな気がするくらい仕事が切羽詰まっていて正月もゆるゆると仕事をしていた。
この稼業を始めてからは正月早くから働いていることは珍しくなかったけど、最近はそこまで切羽詰まった状態で年を越すことはあまりなかった。
立場が変わったからという理由や働き方改革とやらの恩恵もあってだろう。
しかし今年はハプニングもあり仕事の進行が遅れていて、後が厳しいことが見え見えなので集中力はやはり欠けるけれど、ずっと仕事をしている。
仕事初めも何もあったものでは無い。

とはいえ、年末はアイカツ!のイベントが幾つかあったりしたせいか年を越した感は味わえた気がする。
「外れスキル木の実マスター」が明日からオンエアだが去年の後半はその仕上げもあったりでいつになくバタバタしていた。
今年も今年も似たような仕事の進行で過ぎて行きそうだけれど、去年より少しやることが多いのでヒヤヒヤしている。
とにかく体調を崩さないように気をつけないといけない。
最近はなかなか体調を維持するのが難しい。歳なのでしかたないのだろうが、ストレスの影響を受けやすくなっているのがなんとも。
大風邪とか引くことはあまりない。コロナも未だに罹っていないので、それは良いことである。

年末の園芸店のセールで買い物は出来た。欲しかったアガパンサスは買えたが、寒さにあまり強く無いのをわかっておらず地植えしたオキザリスがもう枯れそうで悲しい。いい色のカラーリーフだったのだが。オキザリスはカタバミの仲間なのだが、カタバミは普通に冬も生えているし原種は強いんだな。

仕事をしていたので殆ど本は読めていない。
読みたいものはあるが、なかなか追いつかない。
今年は忙しくてあまり外にで開けることもままならないかもしれない。

絵コンテ学習用の資料だけは何とか早めに作りたい。
作ったところでどこでどうやって教えるかというアテもないのだが。

去年の元旦は能登の震災があったりで、幸先の悪い正月だったが今年はそういう意味では何も無かったのが何よりだ。お隣の韓国では飛行機事故があったが、まったく気の毒だ。

プリキュアの次回作が色々発表になって話題になっているようだ。
多少、事前に知ってはいたのだが、まあそりゃあ話題になるだろうと思っていた。
加藤陽一がシリーズ構成でアイドルものなのだから、実質アイカツ!と言われてもそうかもね思う。
私はプリキュア的には今千秋が監督である方が重要な気はする。
プリキュアシリーズは基本的に投影の生え抜きの監督を採用してきたので外様で女性の監督は非常に意欲的。
今さんはセーラームーンを担当していたので使いやすいという理由もあるのだろう。
キャストに高橋未奈美が入ってますますアイカツ!界隈とプリキュアとの融合が進んでいて個人的には面白い。スタッフ側にも元アイカツ!チームはいるので。
加藤くん含め皆んな人気者なので何の違和感もないだろうが。
年月が経つとライバル関係だったチームも関係が変わってきて、おおそんなことが、ということが起こる。
加藤くんの起用もその一つ。もう少し早く起用されるかと思っていた。
私のところへ監督のお鉢が回ってくる事は永遠にないだろうが。

パソコンが新しくなって普段使っているソフトの中で3Dのモデルを動かしてもあまり重くなく扱えそうなので、コンテの描き方も少し新しいことに挑戦できるかもしれない。
モデルを作るところから始めるのはハードルが高いのだが…。

はて、あまり欲張りすぎず出来ることから実現していきましょう。

アイカツライブ・トットちゃん【2024年12月23日】

もうすぐクリスマスというか、お正月。
やばい。仕事が。

先週の日曜日はアイカツ!のあかりジェネレーション10周年を記念したライブ「キラッキラ」へ。
10周年…いやぁそうですか。
アイカツ!が放映されていた期間は3年半くらいでもうその三倍の時間がたったということなんだな。3年目以降があかりジェネレーションだからそこから10年ということですか。

ライブはメインのアイドル担当の役者の皆さんが全員集まってくれるという奇跡のようなブッキング。
流石に公演時間が伸びまくって4時間というのは申し訳なかったが、楽しんではもらえたのではなかろうか。
私も皆んなの元気そうな顔を見て安心した。

荊棘の女王が久しぶりに聞けたのも満足。

久しぶりにアイカツ!絡みの仕事が沢山ある年末だった。

しかし、この調子で記念イベントやってると毎年なんかありそうで、ファンの皆さんは大変だな。

ここのところ久しぶりにアニメ映画を見た。といっても最近のものではなく見逃していたものを幾つか。

まずは窓際のトットちゃん。
これは良くできていた。
ベースは地味な話であると思うのだけれどイメージシーンなどを上手く使ってアニメらしい飛躍した表現も交えつつ娯楽としても十分楽しめるようなつくり。
アートアニメの要素を巧みに取り入れて、表現の幅が広い。

日常芝居の表現はジブリ的な流れの最先端と言えるのかもしれない。
身振り手振りは少し大きめに表現されていて、それが作品の方向性とうまく嵌っているし芝居のアイデアも豊富でかなり丁寧に手間をかけた芝居作りになっている。
一般のお客さんが見ても分かりにくいかもしれないが、ここまでやるか!というくらい大変なことを丁寧に作り込んでいて感嘆した。
演出はオーソドックスなことをしっかりやるという方向性で、これを教科書に演出を教えれば基本は網羅できるんじゃないだろうか。
映画館で見なかったことを若干後悔した。

きみの色、化け猫あんずちゃん、も見た。
たまたまだが日常芝居に対する思想の違いが分かりやすくて面白い作品たちだった。

きみの色は、リアルで地味な芝居を真正面からトライしている。トットちゃんとは真逆の芝居作り。
しかし、ここまでやれば素晴らしいと思えるくらいにやり切っていてすごく好みな芝居作りだった。
ロトスコープではないけど、リアルな方向を目指している。
ちゃんとアニメらしい派手さのある芝居も用意されている。
興行成績が振るわなかったのはシナリオ的な問題が大きいのかもしれない。

一方、化け猫あんずちゃんはロトスコープを使ってファンタジーの世界を描くという変わったアプローチ。
きみの色とは逆の思想、トットちゃんの方が近い。
ロトスコープを使うことによってファンタジーにリアリティーを与えようとしているのだろうと思うけど、山下敦弘氏が元々やりたかったという企画らしいので、山下氏の能力を活かすためのロトスコープという技法という側面が大きいのかもしれない。

アニメーションの監督として久野遥子さんが立っているが、日常芝居に関しては久野さんの良さがロトスコープによって縮減してしまっている感は否めない気がする。
あと、単純にセリフの間がロトスコープの映像をまま使っているようで会話が間延びして感じる箇所が少なくなかった。人間の役者が写っている場合は間の仕草などで間が気にならない可能性があるのだけど、アニメのキャラクターに置き換えた時に上手く間のニュアンスが伝わらないということが起こっているのかもしれない。
鬼のような現実にないキャラクターはロトスコープによって現実感が増していると思うが、逆にどこで飛躍させるかの判断の難しさを感じた。
ロトスコープの良い面、難しい面が分かりやすく出ている。

トットちゃん、きみの色、あんずちゃんと見比べるとアニメーションにおける日常芝居のリアリティーを考える上でとても面白いと思う。

この週末の土曜日は恒例になった声優のワークショップの講師。
演出家という職業は分かりにくいので、それについての講義にしている。
結局2時間くらい話してしまうのだが、それでも毎度これも言っておけば良かったなと思うことが残ってしまう。
やるたびにまとまって分かりやすくはなっているとは思うが、どうだろう。

オールナイト上映【2024年12月14日】

昨日の夜はアイカツ!をオールナイトで見ようというイベントでのトークショー。
テレビ数話と映画2本という内容。
どうも知り合いの親子まで参戦していただいていたようで、恐縮だ。
トークはバンダイの原田さん中村さんが参加してくれたため、あまり話したことが無いような話もできたと思う。

とくに中村幸恵さんは企画の対上げから関わっていて中村さんともうお一方でタイトルを決めたということらしい。
ナムコに入社してバンダイ・ナムコへという流れの人でアイドル活動など初期の曲を作成したMONACAも元々ナムコの音楽チームで旧知の間柄。

脚本・加藤さんも比較的初期から参加していて私はアニメの企画が持ち上がってからなので結構参加は遅いのである。
楽屋では当時の思い出話に花が咲いたといいつつ、皆んな結構色んなことを忘れていて記憶をすり合わせていたという感じ。

オールナイトは流石にしんどいので今朝は、朝イチの回で劇場版を見た。
映画館のある建物に向かう高校生二人組がいて、あきらかに映画館に向かっている様子。
いやあ、アイカツ!を見にきてくれたのかと感慨深く後ろから眺めていた。しかし彼女たちはアイカツの部屋には入っていかず苦笑。だが、アイカツの劇場の中も私以外にオジサンが一人いた他は高校生くらいの女の子だけ。

劇場版は色んな形で結構何度も見返してはいるのだけれど、色々忘れていることも多くて新鮮。
音響はやはり映画館で聴くのが良くて歓声などは結構後ろの方まで広げて作っているのが分かりやすい。
冒頭のライブの後の歓声は黒沢ともよちゃんと思しき声がすごく目立ってるのが分かる。
同じところで美月と学園長の裏でずっとステージのMCが聞こえるのだけれど映画館なら聞き取れそう。

10年前の映画ということで、今だったらもう少しこう出来るということも映画館で見ると気になってしまったりはしたのだけれど、出し惜しみせず出来ることはやり切っていたのは好感が持てる我ながら。

何より一緒に見ていた女の子たちが映画が終わると同時に、感想を話し始めていたのが嬉しかった。