投稿者: 木村隆一

  • ちまちまと仕事、最近読んだ本【2024年09月16日】

    ちまちまと仕事、最近読んだ本【2024年09月16日】

    9月頭、多少落ち着きはしたもののチェック物が絶えずやってきたり音響作業やら会議やらで地味に落ち着かない。
    合間にコンテ作業もちまちまと。
    立て込んでいるようだが、先のことはまるで決まっておらずで、どうしたものやら。
    いつものことではあるのだが。
    連休なことに気づかなかった。
    祝日だから休みという仕事ではないので気にしていなかったのだが、最近は制作スタジオが休みをとること(建前的には)が多くなり、メールなどが減るので少し落ち着いたような錯覚を起こす。

    YouTubeでBLUE SEEDというI.Gが制作のアニメを無料公開しているのを目にしてタイトルは知っているが見たことがなかったので頭の方を流し見してみた。
    YouTubeはいろんな作品が無料公開されていて、作品によっては全話見られるものもある。
    ひと昔前は無料公開なんてとんでもない、収益の損失だ!的な業界の空気だったのだが変われば変わるものだ。
    商売の規模が大きくなったからこそ、こういった無料公開も可能になったということであるのかもしれないが。

    それはともかくBLUE SEED、テレビアニメとは思えないクオリティである。少なくとも1話はビデオアニメのような完成度だ。スタッフもデザイナー・作監が黄瀬和哉だったりでI.Gのメインスタッフを突っ込んでいる感がある。
    予算は、それほど出ていたとは思えないが…。
    放映が94年の秋番組なのでエヴァの1年ほど前になろうか。
    この頃のアニメ業界の隆盛を感じさせる。
    制作がI.Gと葦プロが組んでいる。プロデューサーに下地さんの名前もあり、この辺りの縁で下地さんは葦プロを辞めI.GグループとしてXEBECを作ったということなのだろうか。
    テレビの後のビデオシリーズはI.GとXEBECで作っているようだ。

    今では絶対にCGを使うであろうヘリコプターやら車やら手描きでがっちりと描いてある。
    *追記:初回でヒロインのスカートが破けパンツ一丁で逃げ回るという仕掛けに、のどかな時代を感じさせる。(女性客を基本的に相手にしていないということだ。今でもエロはあるのだが、この作品は今だったら特に男性向けに限定されることはない気はする)
    ほんとにすごい。メカカットは1カット1万円くらいは出ていたのだろうか。
    当時のテレビの平均的な1カットの単価は3500円くらいだと思う。
    3500円………正直、私が仕事を始めて単価を知った時は衝撃を受けた。
    バブルは弾けたとはいえ、世の中にはまだまだ金はあったはずで、なんでこんなアホみたいな安い値段で作ってるんだと思ったものだが(バブル真っ最中も安い値段で作っていたんだろうし)今、どのくらい変わったのかというと、まあだいぶマシになったとは思うのだが、まだまだである。

    ダンピングでたくさん売って儲ける昭和の商売みたいな状況は長らく続いていた。
    今は外貨が業界を支えているので、安くはあるが随分制作費は上がった。

    話が横に逸れたが、90年代あたりまで、今では金をかけたとて出来ないようなクオリティのアニメがかつてはあった。ほんとに何であんなものが作れていたのか不思議というような作品がある。
    ほとんどは若さが支えていたと思う。
    しかし、若さは失われた。

    今もまた、すごいアニメは作られているが、昔よりは格段にしっかり金をかけて作っているように思う。
    金があるだけではクオリティは上げられないのだが、制作会社によっては人材を育てたり集めたりを頑張っていてすごい作品ができている。
    一方、中堅の会社は苦労している印象ではあるのだが。

    明石市が作ったという、市の歴史を語るアニメ「明石と時のこどもたち」もYouTubeで見られるのだが(小黒さんが紹介していて知った)91年制作、制作会社は亜細亜堂。芝山さんが監督で柳田さんが作監でメカなどは出てこないが、びっくりするような出来だ。

    時代の豊かさを感じる。
    とめどなく色々書いてしまいそうなのでこの辺で。

    最近読んだ本、東畑開人「雨の日の心理学」素人向けにカウンセリングの技術を噛み砕いたという本だが具体的で比較的わかりやすい。東畑の他の本に書いてある内容と被るところもあるが、まとまりとしてはこれが一番まとまっているのかもしれない。広い意味で誰かの手助けをしている、あるいは手助けを必要としている人がそばにいるような人にはお薦めだし、介護や子育てで疲れている人にも役立つという気がする。

    積読が過ぎるので、何とか解消したい。
    机の横に積んである本をパラパラ読むと面白いものが沢山あるのだが、放置してあるもの多数。

    信田さよ子が初めて本を出したのが50過ぎてからとか、私も頑張って小説でも書こうか…。

  • ストリーボード作成で学ぶ演出(のための準備)【02】

    ストリーボード作成で学ぶ演出(のための準備)【02】

    chatGPTが出してきたストーリーボードを新人に教えるための項目

    1. 目的の理解
    2. シナリオの解釈とシーンの分解
    3. カメラワークの基本
    4. 構図とレイアウト
    5. キャラクターの動きと表情
    6. シーンの繋がりとテンポ
    7. 映像言語の使い方
    8. ライティングと影の活用
    9. 音響や音楽の考慮
    10. フィードバックの受け入れ方

    これはこれで的を得ていると思いつつ私が普段教える時は、以下のような要素を意識している。

    1. カメラの高さについて
    2. サイズの選択について
    3. 写す対象について
    4. イマジナリーラインの理解
    5. 二人の会話
    6. 三人(多人数)以上の会話

    これだけ。これだけというか、2人の会話も3人の会話もイマジナリーラインのサブ項目なので、大体4項目。
    普段は描いたコンテとシナリオをもらって添削のような形で教えることが多いのだけど、やはりあまり難しいことを言っても伝わらない。ので、なるべくシンプルに教えようと心がけてはいる。
    シナリオの解釈は頭の1、2、3に関わるのだが、ここはとても難しい。

    アニメの絵コンテでは、実写では別の役職が担っている仕事を一手に引き受けているため、新人さんは混乱してしまうことが多いという気がする。
    ・映像のつながりを決める
    ・キャラクターの演技を作る
    このうち演技の方は、実写では主に役者が担っているのだけれど、アニメの場合演出家(の描いた絵コンテ)でかなりの部分を想定することを要求される。
    この演技を考える部分が、かなり難しくて教えるのにも困難がある。私もあまりまともに教えられる気がしない。
    しかし、映像のつながりを決める部分に限定するとそれほど難しくは無いのではないかと思っている。
    まずは、この2つを分けて考えることがストーリボードの理解の助けになるのではないか。
    その場合、シナリオの解釈はどこまで必要なのか?
    シナリオの読み方をそもそも先に教えた方が良いのではないか?
    という気もしてくるが、それはそれで大変なことなので、なるべくシンプルに同時に教える方向で考えてみたい。

    シナリオの解釈を教える場合、「誰が、どこで、何を、どうした」5W1Hの理解と表現が基礎。
    あとはキャラクターの感情とそのつながりの理解。

    演技はそれ単体で非常に奥深い技術が蓄積されていると思うが、私は詳しくないので調べる必要あり。
    演技メソッド的な本はたくさん出ているのである程度漁ればざっくり把握は可能かと思われる。
    アニメの演技は表現の幅など人間のそれとは違う。
    またアニメ的キャラクター独特の表現の難しさ(視線の問題など)があるので、そこは教えられると良いかもしれない。

    絵的な表現についても私はあまり詳しくないので、ざっくりと調べる必要あり。
    パース、構図の一般的な技術など。

    ・対象の選択
    超初心者向けに教える内容と中級者以上向けに教えるのでは内容が大幅に違ってくる。
    まずは超初心者向けの内容について考えてみるか。

    やはり重たいが、まあ進めてみよう。

  • 藤井誠二「贖罪:殺人は償えるのか」藤山直樹「集中講義・精神分析㊤─精神分析とは何か フロイトの仕事」【2024年09月08日】

    藤井誠二「贖罪:殺人は償えるのか」藤山直樹「集中講義・精神分析㊤─精神分析とは何か フロイトの仕事」【2024年09月08日】

    藤井誠二氏の本を読むのは、ものすごく久しぶり。淫行条例の本を読んで以来か。古田徹也氏との対談を見かけたので興味が湧いて読んでみた。
    長期刑の殺人犯との手紙のやり取り(ほとんど殺人犯の手紙)を紹介した本だが、贖罪についても考えさせるものはあるが、犯罪者が点というよりは人間のつながりの中で現れる断面のようなものだということを強く感じる。被害者対策の薄さなど重大犯罪周辺の事情も結構紹介されている。気が重くなるが…良い本だ。

    藤山直樹の方はフロイトのざっくりした伝記をよすがに精神分析の歴史について語るという本。まずはフロイトを読めというのはよく分かった。
    下巻はフロイト以降の精神分析の歴史。こちらの方が知らないことが多くて面白そう。
    精神医療と精神分析は基本的に違うものなのだ、というのが藤山の主張というか認識で、しかし実際は中間的ないわゆるカウンセリングという精神分析的心理療法というのは行われている。精神医療の分かりづらさの一端なのかもしれない。ちなみに藤山は精神科の医師で精神分析家は基本的には精神科医でないと資格がとれない。
    フロイトの顧客は金持ちばかりで、富裕層が初期精神分析を支えていたらしい、今は精神分析を医療として行うには金げかかりすぎるということらしい。
    安くなれば、精神分析が犯罪者の更生の方法論の一つとして機能したりするのかもしれない。
    それはそれとして、物語作りなんかにも精神分析は面白いと思う。

    加藤公太さんの解剖学の同人誌も届く。思いのほか充実の本。

    東畑開人の新刊も買わなくては。

  • ストリーボード作成で学ぶ演出(のための準備)【01】

    ストリーボード作成で学ぶ演出(のための準備)【01】

    たまーに若い子に絵コンテを教える機会もあり、なかなかオーソドックスな絵コンテのスタイルや描き方は教えられていないのだなと思うことがしばしばあった。
    なので、絵コンテに興味がある人向けに教育的メソッドを作ってみようと思い、しかし一から作るの手が掛かるのでどうしたものかと思っていたが、電車の中で半分暇つぶしに、絵コンテ制作を新人演出に教えるアイデアを提案せよとChatGPTに投げてみたところ、意外とまともなアイデアが返ってきて大変驚いた、と共にこれを叩き台にして作れば、あまり時間をかけずに出来るかもしれないと思ったので早速始めてみることとする。
    以下はchatGPTの提案である。

    ChatGPT
    新人の演出家にストーリーボードの描き方を教える場合、基本的な技術から応用まで段階的に教えることが効果的です。以下の順番で教えると、理解が深まりやすいです。

    1. ストーリーボードの基本的な目的を理解する

    • 目的の説明: ストーリーボードは、シナリオを視覚的に整理し、映像の流れを決定するツールであることを説明します。キャラクターの動きやカメラの視点、シーンの構図などを計画し、チーム全体に作品のビジョンを共有するために使われることを強調します。

    2. シナリオの分解と解釈

    • シナリオの分析方法: まず、シナリオをシーンごとに分け、必要な演出要素(アクション、対話、感情表現など)を把握する方法を教えます。
    • 重要シーンの特定: ストーリー全体の中で特に重要なシーンやクライマックスを特定し、その部分を重点的に描く技術を学ばせます。

    3. カメラワークの基本

    • 視点とアングルの基礎: 視点(主観/客観)やカメラのアングル(高い視点、低い視点、横からなど)の違いが映像に与える効果を説明します。
    • カメラの動き: パンやズーム、トラックなどのカメラの動きをストーリーボードでどう表現するか、動きに合わせてシーンをどう切り替えるかを教えます。

    4. 構図とレイアウトの基礎

    • 三分割法や視線誘導: 三分割法などの基本的な構図のルールや、観客の視線をどこに誘導するかを学びます。
    • 空間の使い方: キャラクターやオブジェクトの配置が、シーンの緊張感や動きにどのような影響を与えるかを説明します。

    5. キャラクターの動きと表情の描写

    • アクションの分解: キャラクターの動き(歩く、話す、戦うなど)をどのようにコマ割りで描くか、動きの流れやスムーズさを意識したストーリーボードの作り方を教えます。
    • 表情の変化: キャラクターの感情を伝えるための表情の変化をどのように描き、シーンに反映させるかも重要です。

    6. シーン間の繋がりとテンポ

    • シーンの切り替えと繋がり: シーンのスムーズな切り替えや、ショット間のテンポの取り方を説明します。カット間のリズムやテンポ感が、視覚的な効果や感情の高まりをどう変えるかを学ばせます。
    • テンポとリズムの重要性: アクションシーンと静かなシーンの対比や、リズムを意識した編集の仕方を教えます。

    7. 効果的な映像言語の使い方

    • 象徴やメタファーの導入: ビジュアルに意味を持たせる方法や、観客に暗示的に伝える演出手法を紹介します。たとえば、特定の色や形がシーンにどのように意味を加えるかを学びます。
    • サブテキストの表現: キャラクターが話している内容以外の、裏の感情や状況を視覚的にどう表現するかを教えます。

    8. ライティングと影の活用

    • 照明効果の理解: 光の当たり方や影の使い方が、キャラクターやシーンの感情にどのような影響を与えるかを説明します。
    • 時間帯や天候の表現: ストーリーボードで時間の流れや天候の変化をどのように描写するかを学ばせます。

    9. 音響と音楽の考慮

    • サウンドキューの入れ方: ストーリーボードには音響や音楽の指示も含める場合が多いため、どのタイミングで音が入るか、シーンに合わせた音響演出の指示を追加する技術も教えます。

    10. フィードバックの重要性

    • フィードバックを受け入れる姿勢: ストーリーボードはチームで共有するものであり、他者からのフィードバックを受けることが重要です。建設的な意見をどのように反映させ、より良いストーリーボードにするかを教えます。

    教える順番のまとめ

    1. 目的の理解
    2. シナリオの解釈とシーンの分解
    3. カメラワークの基本
    4. 構図とレイアウト
    5. キャラクターの動きと表情
    6. シーンの繋がりとテンポ
    7. 映像言語の使い方
    8. ライティングと影の活用
    9. 音響や音楽の考慮
    10. フィードバックの受け入れ方

    新人には、まず基本的な要素を学ばせ、徐々に複雑な技術やクリエイティブな要素に移ることで、全体的な理解を深められるようにすると良いです。

    とのことだった。
    かなりそれっぽい。
    イマジナリーラインについて触れられていなかったので、

    あなた:イマジナリーラインについて教える場合、上記の項目の中の何処に追加するのが良いですか?
    と質問すると以下の答え。

    ChatGPT:
    「イマジナリーライン(180度ルール)」は、カメラワークの基本シーン間の繋がりとテンポに密接に関連しているため、これらの項目の間に追加するのが良いです。
    具体的には、以下の位置に追加することを提案します:

    3.5. イマジナリーラインの理解

    • 180度ルールの説明: イマジナリーラインとは、シーンにおけるキャラクターやオブジェクトの位置関係を保つために、仮想的に引かれる線のことです。カメラがこのラインを越えて位置を変えると、観客がキャラクターの位置関係や動きを混乱する可能性があるため、基本的にはラインを超えないようにします。
    • シーンの連続性: イマジナリーラインを守ることで、視覚的な連続性が保たれ、観客が自然にシーンを理解できることを教えます。
    • ルールの活用と破り方: ルールを意図的に破って感情の変化や混乱を演出する方法もあるため、その使いどころについても説明します。

    このように、カメラワークの基本に関連した要素として教えるのが最も自然で効果的です。カメラアングルや視点と密接に結びついているため、このタイミングでイマジナリーラインの概念を導入すると、より理解が深まります。

    なるほど…と感心。
    これをさらに詳細にしたアイデア出しもしてもらったのだが、一般的に教えていそうな項目を多数並べてくれた。
    が、詳細になるほど抽象的になっている印象。
    しかし、根本的なことには何も触れられないまま、理屈めいた映画の理論が教えられていることは今も普通に起こっていそうな気がする。

    そもそもの話ではあるのだけれど、映像文法は数学のようなものではない。
    音楽のメソッドなどに近い。
    短調は長調に比べると暗く聞こえる、と言われているが、それは数学の法則のように理由が説明されているわけではない。(認知心理みたいなもので説明を試みられてはいるのかもしれないが)
    ポップスのコード理論なんかも、こういうフワッとした経験知的なものをベースに作られていると思うのだが、映像文法も似たようなものだと思う。
    ほとんどの事は経験的な感覚を下敷きにして作られているので、時代によって変わることもあるだろう。
    歴史、積み上げてきたものが大事なのだ。

    理論は割とフワッとしたまま、感覚だけで作品を作っている演出家も少なくはないと思う。
    私も大学で多少教育は受けたもののかなりフワッとしたまま、言語化しないまま仕事をしている部分も多い。
    しかし、経験に頼りすぎるのは若い人が演出を学ぶ時、人によってはえらく時間がかかってしまう原因になりやすいように思うし、全く出来ないまま終わるということにもなりかねない。
    映像文法は今まで人間が「映像から物語を理解する」にはどうしたら良いかという経験知の集積なので、そういう意味で有用だと思う。
    私は映像文法の基本部分は極めて簡単だと思っていて、骨格だけ覚えたら、あとは経験値で膨らませ応用を考えていく他にないように考えている。

    GPTが挙げていることは重要だが、「物語を映像で表現する」ための方法という映像全般の技術の中の限定的な分野の事でしかないので、全部を理解している必要はないし重要度も項目によってかなり違う。
    4の構図とレイアウトについてなどは私の場合はかなりいい加減に考えている。

    色々整理しながら、初学者が分かりやすいようにと、形式主義に陥らないように演出の基本をストーリーボード(絵コンテ)作りから学べるような方法を考えてみようと思う。

    まずははここまで。

  • 台風はやりすごせたらしい【2024年09月01日】

    台風はやりすごせたらしい【2024年09月01日】

    台風10号がとにかくゆっくりと進んで来ているようだが関東に上陸せずに新潟の方へ抜けて温帯低気圧に変わるようだ。
    各所影響を被ったところも少なくはなさそうだったが、少し安心。
    気温もここ1週間くらいで随分下がってきたように感じる。
    涼しくなってきたので、セールで買った植物の植え替えをしたのだけれど、あまり根は張っておらずで失敗したかもしれない。旺盛な品種なので枯れることはないと思うのだが…。

    今週は比較的のんびり。打ち合わせと音響作業とデスクワーク。
    音響はスケジュールが伸びたおかげで久しぶりのオールカラーでダビング。
    担当演出が、すごく早くてちゃんと音がついていたと喜んでいた。
    そもそも出来のいい班の仕事ということもあるのだけれど、全部色がついていれば音響スタッフも安心して音がつけられるのである。
    なかなか、絵作りのスタッフには伝わらないところではあるのだが。

    打ち合わせは知り合いだったので、随分色々喋った。
    どっちを向いても大変そうだ…とお互いの見聞きしたことを突きあわせ唸る。
    仕事が減る気配がないのは唯一の救いかもしれない。

    体調が上向いたせいか少し気力も上がってきた。
    しばらくこの状態をキープしたいものだ。
    歯医者へ検診に行ったら、ちゃんと磨けているけど奥の歯茎が腫れているとのこと。
    どうも寝ている時に力がかかっているのではないかと言われる。
    変わらないようならマウスピースをするという手段があるらしいが、マウスピースをしながら寝るのはなかなか難儀そうな気がする。

    この先はしばらく忙しそうなので、今のうちになるべく仕事を進めてしまいたい。
    慣れない仕事へのチャレンジも待っている。

    どうも仕事の告知は10月以降でないと出来なさそうだ。

  • ソニーのアニメ制作用ソフトとか【2024年08月25日】

    ソニーのアニメ制作用ソフトとか【2024年08月25日】

    制作中のアニメのアフレコが終わったりで少しほっとした週末。
    多少、打ち上げっぽいことも出来るようになった昨今、役者さんとも少し話ができて楽しく過ごした。

    土曜はロロの「飽きてから」を内古閑さんと観劇。
    いきなり別れ話から始まるようなところが、今までの三浦さんとは少し違う感じ。
    食事についての会話がいきなり別れ話に接続してしまうのは面白くもあり、とてつもなくリアルな感じもして、胸がギュッとする。
    時制の繋ぎ方の面白さは相変わらずでどうしてこんなことを思いつけるのかと毎度思う。
    短歌をシーンの間ごとに挟むという趣向は、考える間隙が生まれるようでなかなか良かった。
    鈴木ジェロニモが歌う「瞳を閉じて」も最高だった、劇中では涙を誘うまでに至らず失敗という設定なのだが笑えながらもしみじみと響く。
    ジェロニモ?何でそんな名前?と思って調べたら芸人さんらしい。
    Rー1で準決勝まで行ったというwiki情報を知る。
    短歌が趣味らしく、それもあってのキャスティングなのだろう。
    終演後、側にいた客の会話が聞こえてきて、結構有名な歌人も見にきていたことを知る。
    移動のタクシーの運ちゃんが自民との総裁は誰が良いと思うかなどと問うてきた。タクシーで政治の話などしていると危ないんじゃないかと思うが余計なお世話か。大谷翔平の話も振られたが、前日たまたまテレビでニュースを見ていたので会話になった。

    ソニーが開発しているというアニメ制作用のソフトは仕上げ機能も組み込んであって、どうもガチで使えるものになりそうだ。
    朝日新聞の記事によると仕上げ機能から現場投入されるようで、RETASの保守が効かない事への危機感から開発されたことが窺える。
    もう10年以上前にRETASの開発は打ち切られているのだが、放置され続けてきてアニメ業界の不甲斐なさを思い知らされていたが、ここにきてやっとRETASの代替になりそうなソフトが出来そうだ。
    他にも仕上げのできるソフトはあるのだが、RETASとは思想が違って、同じような素材を作るための使いやすさがだいぶん違った。
    RETASの素材に業界全体は特化しすぎてしまっているのもどうかとは思うが、共通フォーマットがあるからこそ現在のような物量でアニメが作れていることは間違いない。
    後継ソフトは悲願というと大袈裟だが無くては立ち行かないだろう。

    庭の木を切った枝にコガネムシが付いていた。
    コガネムシの幼虫は花木の根を食い荒らすので害虫とされているのだが、ゴミ袋に突っ込むのも忍びないので、そっと地面に置いた。

  • オリンピックも終わり【2024年08月18日】

    オリンピックも終わり【2024年08月18日】

    ほとんど見なかったけれど、体操の団体とかサッカーとかちょこちょこと。
    体操を見ていて楽しい。昔、体操アニメがあったけどアニメは体操なんかを描くのには向いていそうだ。すごく大変ではあるが上手くやったらすごく面白そう。
    二十数年前、女子の新体操を取材しに行った時、隣で男子の新体操がやっていて、これは面白いと思ったものだが、それから幾星霜、アニメ化されたわけでスポーツでも球技より体操の方がアニメには向いている気がする。
    球技の難しさは「球」と「身体」の二つを同時に動かさなければいけないことで、球技はまた団体戦が多いので余計に難易度が増す。
    水泳の飛びこみみたいな個人競技の方がアニメにするなら楽そうだ。
    一人ずつ演技の間があるのも良い。
    新競技のブレイキンは、踊っているのは一人だが舞台上は常に二人で見ている方も動いているので、結構難しいか。
    動きっぱなしはとにかく大変だ。

    先週は、だいぶ引っ張っていたコンテをひとまず終わらせられた。
    それで楽になったというわけでもないのだが。少し肩の荷がおりた。
    も8月も後半になり、いよいよ今年も終わり…という気分になってしまう。
    次の仕事の現場が動き出すのも近くなってきて緊張感が高まってきている。
    次は慣れない作業を担当することになってしまったので、余裕をもって臨みたいと思ってはいたもののあまりいつもと変わらぬギリギリ感が醸し出されつつある。
    制作スタジオも初めてのところなので蓋を開けてみないと何が起こるか予想がつかない。
    とはいえ、面白いものになりそうな気はしている。

    セールで買った夏の花が、もうしばらく咲いてくれると嬉しいが少しずつ夏の終わりを感じる。

  • コロナが流行ってる【2024年08月12日】

    コロナが流行ってる【2024年08月12日】

    世間はお盆休みだからなのか…やる気はあまり上がらず。
    体調はゆるゆると上向いているので良きこと哉。
    ネット将棋を飽きずに延々と指し続けてしまう。勝てる時は何でか偉く強い人にも勝ててしまうのだが負け始めるとこれまた何でこんな将棋が勝てないのかという勝ち将棋をひっくり返されたり。メンタルは将棋の調子で結構わかってしまうのだが、調子が良くても仕事の方は捗らなかったりはする。

    片方の仕事はだいぶ進んできた。
    色々あって長かったがやっと落ち着いてきてホッとしている。
    告知は来月か再来月なのかな?近いとは思うのだが。

    コロナが本当に流行っている。
    スタッフが罹ったり、役者が罹ったり、マスクをしている人は少し増えた気はするが暑すぎる夏のせいもあってか、それほど多くはないように見える。
    観光客もすごく増えているので感染者が増えるのもさもありなん。
    私はコロナが流行り始めた頃は、マスクしたところでそう変わりはせんだろうと思っていたのだが、最近はなるべくならかかりたくないということで電車の中やら狭くて人が多いところではマスクをするようにしている。
    おかげでかは分からないが今のところコロナに罹ったことはない。(無自覚な人もいるようなので確信はないが)
    それでもマスクをするには、最近の夏は暑すぎてせずに済むならそうしたい。
    後遺症はしんどい人は本当にしんどいようで2年以上辛い症状に悩まされている人の話も聞く。
    歳はあまり関係ないようで、仕事が続けられないほどキツいこともあると聞くと他人事とは思えず用心せざるを得ない。

    初めてのスタッフとの仕事はいつも探り探りで、正直慣れた人たちとやっている方が圧倒的に楽なのだが最近は少しお初の方が多い。
    相手方がこちらを探っていたり警戒しているような感触を感じることもしばしばあるのだが、これはまあお互い仕方ない。
    私は比較的気楽に付き合える監督だと思うのだが過酷な現場もあるだろうし、警戒したくなるのは良くわかる。
    相手の緊張感が伝わるとこちらもそれを和らげるために頭を使わざるを得ないのだが、こちらの腹の中を相手に伝えるにはどうしても時間がかかる。
    とあるスタッフから警戒警報をビンビン感じていたのだが、最近少し和らいだように感じた。
    やはり仕事を進めてみないと相手のやり方というのはなかなか分からないもので、1本作ってお互い馬があって残ったスタッフとは次の仕事の時は圧倒的に気分が楽だ。
    とにかく1本完成させるしか本当にお互いを理解する方法はない。

    仕事の時は最近はFUSIONのディスクガイドを片手に良さげなものを配信で聴いている。
    しかし無いものも多くて、まだまだアナログ時代の遺産はデータになっていないものも多いのかもしれない。
    アニメもそうだが、見ることができない聞くことができない状態というのは作品が存在しないのと変わらないので、著作権者はとにかく作品にアクセスできる状態が維持されるようにしてくれと思う。
    金があっても見られない聞けない作品はあるわけで、それは作品にとっては途轍もない不幸だと思うのだが…。配信するにも金がかかるから儲からない作品は倉庫に置いておくしか無いというのは分かるのだが作品へのアクセスを確保しておくのは公共的義務なんじゃ無いのと個人的には思う。
    結局、物理もデータも永遠に維持し続けるというのは不可能なんだろうけど。
    文化は結局のところ口伝みたいに人間の中で再解釈、再生産されるという形でしか残っていかないのであれば、それをなるべく制限しないシステムは必要だ。

  • どうにもこうにも暑い【2024年08月03日】

    どうにもこうにも暑い【2024年08月03日】

    暑くて全てのやる気が溶けていくような気がしてしまう。
    しかし、少しずつ体調は上向いてありがたい。
    睡眠時間が増えているのが良いのか…原因はよく分からない。
    睡眠は歳のせいもあり上手く眠れないことも多いのだが、やはり眠れると調子は良い気がする。
    そして気づけば8月。

    先日はアイカツ!のライブが久しぶりに行われていて、相変わらず盛り上がっていた。
    私は配信で見ていたのだけれど、ドリアカのキャストが顔を合わせているのを見るのは久しぶり。
    みんな元気そうで何よりだ。
    もう久しく関わっていない作品について語ってくっるだけでもありがたい。
    次はあかり世代括りでイベントをやるそうで、しかも結構大きな会場だから埋まるのかしらと心配しつつ、私も少し手伝うので楽しんでもらえるものになるんんじゃないかと思
    昨日、仕事で若い各話演出に今回のコンテのフィードバックをくれというようなことを言われたのだが、もはやその人はここしばらくですっかり腕を上げて(いやアニメーターの経験も長いし最初から上手かったのだけれど)特に私がどうこう言うような事はない。
    上手くなると何か言われる機会はどんどん減っていくので他人の意見が聞きたいというのは分かるので何かアドバイスしようとは思うけど、ある程度の力をつけた演出がステップアップするには監督業をやるしかない。

    各話演出ではお話の部分に関われないので、そこに踏み込めるのは監督業である。
    しかし、監督業は外からは見えづらい仕事がたくさん襲いかかってくる。
    およそクリエイティブではないと思われる政治的な交渉やトラブルシューティングなど真面目な人ほど其のストレスは尋常ではないと思う。
    他人の絵コンテを直すといのも各話演出にはない仕事で、良いコンテが如何にありがたいかというのが身に沁みるし自分の不出来な部分も実はよく分かったりする。
    自分が描けないような絵コンテに出会うと刺激を受けつつ打ちのめされ、イメージと違う(下手なコンテというのではなく話やキャラクターの解釈違い、演出論の違いなどがある)コンテには直しの時間の無さで苦悩する。

    自分というのは一人しかいないのだと思わされるのが監督業だ。
    自分と同じイメージを持てるのは自分しかいない。
    当然、自分の考えと同じ絵コンテなど上がってこないし、同じ演出など基本的には行われない。
    上手い人は、なるべくそこを近づけてくれる。

    オーソドックスな演出というものはあって、私が各話演出の時はなるべく監督が直しやすいような絵コンテを心がけていた。
    演出は直しようがないので、絵コンテを与えられたスタッフでなるべく最良の形で具現化できるように心がけた。
    監督が近くにいる場合は監督の手をなるべく煩わせない程度に意見を聞くなども。(若い時はてんで好き勝手をやっていたこともあったけれど…)

    監督と各話の演出は同じ人間ではないのだし、最後はお互いの信頼の中でベストを尽くすしかない。

    しかし、オーソドックスな演出というのは特に教科書みたいなものがあるわけではないので、共有されていないところには全く共有されていないものなのだというのは最近になって感じるようになった。

    オーソドックスというものは良くも悪くも色がない状態なので作品によってアレンジが必要だとは思うのだが、分かっていれば作品や監督の趣向がよく分からない場合でもアレンジしやすいような形で素材を提供可能になるのではないかと思う。

    監督をコンスタントにやっているような人の絵コンテは、大体これが出来ているように思う。

    しかし明らかにオーソドックスなスタイルを知らない(あるいはわざと避ける)人というのはいて、それは時に結構困ったりする。
    よく話題に上がるイマジナリーラインに対する考え方などが違うと、もう大変な直しになったりするので、オーソドックスな考え方は共有されていた方が良いと思う。

    作品によるスタイルの違いなどを超えて一般的な方法論というのはいろんな仕事をするタイプの人は特に知っていると楽だと思う。

    メモ的にここで少しづつまとめてみようか。

  • 「体はゆく」「言語の本質」【2024年07月31日】

    「体はゆく」「言語の本質」【2024年07月31日】

    暑すぎる。
    日傘を差す男性も最近はだいぶ増えた。ただ歩いてるだけでも頭が痛くなってくる気候では必須アイテムになりそう。特に中年以降には。熱中症になるより傘を持ち歩く面倒くささの方がマシだと思う。

    最近読んだ本。伊藤亜紗「体はゆく」、秋田喜美・今井むつみ「言語の本質」

    「体がゆくは」どのように人間の体が出来るようになるかをテーマにテクノロジー系の研究者を取り上げて対談形式で研究を語っている。
    ピアノ練習を補助する装置として指に機械を装着して教師や自分のベストな演奏を指先に再現する技術というのが出てきて自分の体にベストな動きを再現することで体で理解することができる、という話が面白かった。
    けん玉などもバーチャルで練習すると意外に皆出来るようになるとか。

    絵でも上手い人が絵を描く動きを体に再現させることで上達するかもしれない。
    絵を描くという行為もかなり身体的なので体で覚えるというのは必要、とにかく描けというやつである。
    しかし盲滅法に体を動かしても当たる確率は低めなので体を動かす装置があったら大分効率は良さそうである。
    スポーツ選手がビデオで自分がベストの時の映像を見るというのもその類のようで、上手い人が絵を描くのを後ろか見ると同じような効果があるのかもしれない。

    体が頭というか意識に上らないところで動いていて、それを使って意識や体に変容をもたらすことが出来るというのは面白い。
    頭と体の関係は一筋縄ではない…というか頭も体の一部なので分けて考えるということで見失ってるものがあるのかもしれない。

    「言語の本質」もなかなか面白かった。
    オノマトペというのは言語の原初的な形で、そこから言語がどのように作られていったのか、という仮説を組み立てている。
    前半はオノマトペが言語の中でどういう立ち位置なのかという検証(実験などを紹介しつつ)なのでちょっとまどろっこしくて飽きてしまうかもしれないが、ざっくりとばして後半の面白いところだけ読むのでもいいかもしれない。
    オノマトペがアイコン性の高い言葉(ビジュアル的なアイコンと似たような)で音の具象をもしたところから始まっている、なので幼児と会話する時にオノマトペが用いられることが多い、ということだけ押さえれば後半は問題なく読めると思う。
    記号接地の問題について論じたかったというようなことを著者の一人である今井むつみが話していたので読んだのだが、オノマトペは記号接地のキーワードということらしい。
    なるほど、ではある。
    あ、記号接地の話に興味がある場合は前半も面白いかもしれない。

    先週末は、ものすごく久しぶりに大橋彩香のライブに行った。
    もうすっかり貫禄のついたステージで、年月を感じる。
    日本のポップカルチャー最前線はマンガ・アニメ文化の周辺にあると思わされた。

    少し仕事の待ち時間があったので噂の「ルックバック」も昨日見られた。
    なるほど、丁寧に作っている。
    短いのでちょっとした隙間に見られるし、この形態が成功したらアニメ興行の新しいスタイルになるかもしれない。

    話の筋は概ね原作通りなのだろうか。原作は未見。
    監督が思い入れて作っているのは、この話の主人公に自分を重ねているからなんだろう。
    思い入れて作っていなければ自分でほとんどの原画を書いたりはできない。
    私も主人公の気分は分かりすぎるほどによく分かる。
    が、感動したかと言われると、ピンと来なかった。
    周りでは若者が啜り泣いていて、帰りのエレベーターでも感動を口にして語らっていた。
    私はというと淡々と見られてしまった…それは何故なのか考えてみると面白そうだと思う。

    ちょいネタバレあり。

    劇中でのテーマそのものだが、素描力があるということと伝わる絵が描けるというのはニアイコールで同じではない。
    これは、そのまま当の映画に批評的に向けられてしまう視線でもありうる。

    年齢によっても感じ方は違うかもしれない。
    私などはそりゃそうだろう、と思うラストなのだが、若者なら強いカタルシスを得られるかもしれない。

    短尺の漫画道みたいな話なので、短尺ゆえの話の作りの難しさもありそうだ。

    主人公と観客の距離感の取り方は少し遠めに作ってあるのではないか、といのは私の印象で、それは感動ポルノみたいな印象を上手く避けている一方、主人公を分かりにくくさせているのかもしれない。
    スラムダンク前半のクールさを彷彿とさせる。

    大学での凶行イメージはドラマ的には不要だったように思うが、原作ものでもあるし主人公の漫画とも絡むネタではあるからカットは難しいにしても、もっと淡白にした方が分かりやすかったかもしれない。

    クリエーターあるあるみたいな作りの主人公の話なのと、ビジュアルの力が非常にあって、色々考えてみたくなる作品であった。