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珍しく先生をやる

今月やる若い声優さん相手のワークショプ用にちょこちょこ講義の内容をまとめていた。
私は実演家ではないので、座学になるわけだが、まあまあ面白く聴けるのではないかというものになったかな。
アニメの制作の中でも演出家というのは何をやってるんだか分からないという人は多いのじゃないだろうか。
画を作るスタッフ向けにも演出の講座みたいなものをやっているところは少なくて(全くないわけではない)演出が自分の技術について語るという機会はあまりない。
演出を教えるとなると、作品の良し悪しを計る物差しはないから演出の良し悪しも作品によって変わって教えにくいものである…と思っている人も多いのだが、そんなことはなく基礎的な技術なんかは、どんな作品をつくるにせよ変わらなく案外と言語化できる。
しかしまあ、教えるのも教わるのもそれなりに時間もかかるし、なかなか演出の技術が伝わる機会は作りずらい。
かくいう私も師匠に手取り足取り教わったということでもないのだが、それでも師匠と言える人がいるので、それが大きな足がかりになった。
演出についての本もあるにはあるのだが、意外と分かりやすく初心者が学べる本は少ない。
富野さんの指南書なんかはアニメ関連の演出の本の中では比較的分かりやすかったような覚えがある。
覚えがあるというのは、読んだのが昔過ぎて記憶が定かでないからだが…。
アニメ関連ではないけど、平田オリザ「演技と演出」は演出の仕事を知るには良い本だと思う。
主に”演技を演出する”というタイトル通りの部分について語られているのだが、アニメの演出家は演技というものについて、誰かに教わった経験がある人というのは殆どいないと思うので、その一端を知るものとしては読んでみて欲しい、とこんなところで書いていてもしょうがないのだが。
そもそも本を読まない人が多いんだよね。
本を読め、と若い演出家には言ってはいるものの実践してくれているだろうか。

アニメ業界での教育の機会を作るのは難しい、が最近は少しずつ増えてはいて、特にアニメーターはあまりに不足しているので育てようという気運は高まっている。
演出家の方はイマイチ進んでおらず、なんとなくで仕事をしている人も少なくない。
そこは、も少し何とかしたいのだが。

話は戻って声優さんたちは、色んな演出家と仕事をすることになる。
アニメの場合は、音響監督が直接的には演出家として役者と向き合う機会が多いが、最近は監督が自分で音響監督をやっている場合もあるし。
何にしろ、作品ごとに違うに違う演出家と付き合うことになる。
まあ、色んなことを言われるわけで、それは大変だ。
多少なりとも演出家の仕事を知ることが、求められるものへの理解へ繋がると良いなと思っている。
演出家なんて勝手な生き物だからね…。
いや、私は勝手ではないつもりだが、そう見えることも多々あるだろうな〜。
広い心で受け止めていただきたい。

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