藤井誠二氏の本を読むのは、ものすごく久しぶり。淫行条例の本を読んで以来か。古田徹也氏との対談を見かけたので興味が湧いて読んでみた。
長期刑の殺人犯との手紙のやり取り(ほとんど殺人犯の手紙)を紹介した本だが、贖罪についても考えさせるものはあるが、犯罪者が点というよりは人間のつながりの中で現れる断面のようなものだということを強く感じる。被害者対策の薄さなど重大犯罪周辺の事情も結構紹介されている。気が重くなるが…良い本だ。
藤山直樹の方はフロイトのざっくりした伝記をよすがに精神分析の歴史について語るという本。まずはフロイトを読めというのはよく分かった。
下巻はフロイト以降の精神分析の歴史。こちらの方が知らないことが多くて面白そう。
精神医療と精神分析は基本的に違うものなのだ、というのが藤山の主張というか認識で、しかし実際は中間的ないわゆるカウンセリングという精神分析的心理療法というのは行われている。精神医療の分かりづらさの一端なのかもしれない。ちなみに藤山は精神科の医師で精神分析家は基本的には精神科医でないと資格がとれない。
フロイトの顧客は金持ちばかりで、富裕層が初期精神分析を支えていたらしい、今は精神分析を医療として行うには金げかかりすぎるということらしい。
安くなれば、精神分析が犯罪者の更生の方法論の一つとして機能したりするのかもしれない。
それはそれとして、物語作りなんかにも精神分析は面白いと思う。
加藤公太さんの解剖学の同人誌も届く。思いのほか充実の本。
東畑開人の新刊も買わなくては。
2024-09-08