webちくまで富野由悠季の評伝を藤津亮太氏が書いている。
これがとても面白そうだ。
面白そうだというのは、まだ連載2回目までだからだけど2回目でやろうとしている事が大分見えている。
よくあるやり方ではあるけれど、富野由悠季を語ることによって70〜80年台のアニメの諸々の歴史を語ろうという事だと思う。
これはとても面白い試みだ。
富野さんは本人のキャラも相まってかあまりまともに語られてきた印象がない。
第二次アニメブームの頃の歴史的な流れも実は真正面に語られてきたことはあまりないように思う。
氷川さんがロボットアニメの歴史を概観するようなものや、サブカルチャーの中の文脈として語られるくらいしか知らない。
藤津さんは大分前から評論家的な態度を取ろうとしてきたと思うが、その実仕事としてはライター的な仕事が多くて読んでいると歯痒さを感じていた。
アニメ誌などライター仕事というのは提灯記事的なものにならざるを得ない。
しかし、今回の文章は何か吹っ切れたような印象もあり藤津さんの代表作になることを期待させる。
良い批評は作品の質も向上させると思う。
漫画はある程度それが叶っている。
アニメも良い批評があった方が良いと思うが、儲からないだろうなとも思う。
80年代あたりまではアニメ誌でも批評的なことは行われていて読まれていたと思う。
しかしいつしかライトな記事だけになりキャラについてしか語られなくなった。
私がインタビューなどで答えるときもキャラに関する質問が多くて、メタ的な作り手の内部に踏み込んでくるようなことはほとんど聞かれない。
聞かれてそれがあるという訳でもないけれど。
50年近く経ってやっと、あの頃のブームや何が起きていたのかという事が語られそうな予感がしてワクワクしている。
アイキャッチ画像そろそろ替えるか…。