山本貴光さんの「文学のエコロジー」読了。
文学の中に書かれていることをコンピューターのシュミレーションの要素として読み直す、というのが主な企み。
言われてみれば、仕事では原作や脚本などをシュミレーションし直す様な読み方はしているのだがシュミレーションという言葉で考えたことはなかった。
前半は事物、時間など物質的なことを取り出して解析。
後半は紙幅を割いて、心に関する描写についての考察。前半に比べると抽象的なテーマだが、それがAIへと接続されて現代の問題として語られていて大変面白かった。
最終章の文学のイメージは読者との共同作業の中に現れるという事についての考察は、全くその通りだと思う。
文学以外でも物語を扱った何かに敷衍できる内容で大変面白かった。
山本さんは同い年だけれど博覧強記の人で、同じ人間とは思えない。
なかなか本を読む時間がとれないけれど読みたいものが溜まっている。