先日、ロロ『BGM』を見た。
ロロは、ここ何年か追っかけていて公演があれば大体見ていると思う。
コロナの前は他の劇団もたまに見ていたけど、落ち着いてからも忙しかったこともありロロ位しか見られていない。
しかし、演劇もライブも元の状態に戻れそうなので嬉しい限りだし時間があれば色々見に行きたい。
ロロを初めて見たのは「ハンサムな大悟」だったかと思う。
板橋駿谷さんは強烈に印象に残ったが、全体として自分が普段やってる仕事に近い事をやっているのに表現として全く違うし思いもつかない様なことをやっているのが面白くて嵌ってしまった。
三浦直之さんの劇作、演出は色々なものの境界を曖昧にする、又は同じレイヤーというか同じ次元に重ねて見せてしまうというところが強烈に好きだ。
時間や場所や個性や現実と非現実、普通重ならないものを重ねて見せて、見えないものが見えてくる。
私の作っているアニメーションは、実はそうしたことがとても得意な表現技法なのだけど三浦さんの様なことをやっている作品はあまり見かけない。無いわけでは無い。
舞台ならではのシンプルな美術(舞台装置)の中で時間や様々なものが重なり変化していくのは不思議だが自分の中の観念の世界を感じて自然でもある。
劇作の中で扱われる題材は根の部分はそれほど突飛なことは少ない、と思う。突飛な世界でも地に足がついている感覚がある。それは役者の力量のおかげでもあるのかもしれないが。
なのに夢の様な魅力的な世界が見えてくるというのは素晴らしい。
特に今作『BGM』は友達の結婚式に行くという、ただそれだけの事が描かれているだけだ。だが劇的だ。
日常が魅力的に見えるというのは素晴らしい、自分もそういうものを作りたい、と思っていることもあって『BGM』はとても好きな作品だ。
今回は再演であったので筋は概ね知っていたが、思っていたより雰囲気が変わっていた。音楽が変わったのが大きかったのかもしれない。
表現技法の特質をうまく使った表現というのは、やはり個性的で刺激的だし三浦直之の舞台は、いつもそれを明快に見せてくれて好きだ。