もう11月も半ばに入ってしまった。
仕事は落ち着いてきたものの、10月末は事件があったりで気分的には全く落ち着かない。
この一年放置してきた私的なことを片付けたいが、やっと本を読む時間が取れる様になったくらい。
来年の作品の準備はまだ続いている。
先日、とある作品の音響用の準備に途中経過の映像を編集する作業をしたのだが、とても良い出来である。
ま、最後まで作り終えてみないと本当のところは分からないのだが、十分すぎるほど期待させる出来だった。
そこの班は地方で制作していて、演出家も若くて、一人で全てやるのはこれが初めてということだった。
どこにでも凄い人たちは居るものだと感心するばかりである。
他にも、以前一緒に仕事をしていた演出家が監督となり凄い出来のPVを発表していたのを見て驚愕した。
正直今アニメ業界は空前の人手不足でグダグダなのだが、そんな中でも血気盛んに良いものを作っている若い人たちは素晴らしい。
昔なら、負けない様にしなければなどと思ったものだが最近は観客の様に楽しむだけで自分に引きつけて考えることはあまりない。
別に仕事に対してやる気が無くなったとか探究心が無くなった、というわけではない。
今作られている良くできたアニメの作り方の仕組みというか、こういうことをやっているのだな、という作り方の部分は大体は映像を見れば分かる。
しかし、だからといって真似が出来るものではない。
真似はできないが仕組みは、既存の制作手法の延長線上にあるので大体わかる、という印象だ。
良くも悪くも、日本の商業アニメーションは同じ制作手法で作っているので、私でなくとも皆んな何となく想像出来る。
単純な制作技術の部分はわかっても、人材集めみたいな部分が真似できないと、その凄いものの真似はできない。
技術そのものよりその土台となっている何かを実現させるほうが遥かに大変だったりする。
人の庭は、どんなに手に入れたくても人の庭なので、自分に引きつけて考えたり羨望したりはあまりしなくなってしまった。
あとは自分の興味が、目の前の仕事と少しズレているせいもある。
なんとなく、この後は色々潮目が変わったり、やりたいことがあったりで人生の転機みたいな時期に差し掛かっているのかもしれない。
そんな大袈裟なもんでもないのだが、人間、5年とか10年おきにそういう時期が来るものだ。
死ぬまでの時間はもう長くは無くなってきたので、体力もないし派手なことは出来ないが、なるべく楽しいと思うことをやっていきたいものだ。
数日前、若い人が仕事で書いたコンテにアドバイスみたいなものをつけて返してあげたら結構喜んでいた。
私のアドバイスは、なかなか分かりやすく的確なのである。
アニメ業界から師弟制度が無くなって久しいので、ひたすら独学で誰かのアドバイスを受ける機会は猛烈に減っている。
そういう若い人のお手伝いはちょっとやりたいと思っている。
あとはインディペンデントで何か作ってみたいな。