木村隆一 website:Ryuichi kimura website

久しぶりに髪も切った

いよいよ仕事が落ち着いてきて、少しホッとしている。
猫の相手をできる時間も増やせそうだ。
しかし、仕事が落ち着く、終わるということは我々フリーランスにとっては無職になるということを意味するので、毎度どうしたもんかな〜と考えるのだが、やっぱり休みたい。
若い頃ほど金がないわけではないので、多少のモラトリアムの時間は確保できるだろう。
仕事もまあ、くれと言えばあるようなご時世なので十数年前よりは気楽な状況だ。
リーマンショックのあたりは仕事がごそっと減って肝を冷やした業界人もすくなくないのではなかろうか。
しかし、コロナ真っ只中の2021年の頭あたりは、さっぱり企画が決まらず暇を持て余していた。
あんなに暇だったことは仕事を始めてから経験したことがなく、今考えればなかなか悠雅な時間だった。
そこで暇した分、ここ一年ほど猛烈に働くことになったのだが、致し方ない。
とはいえ、クタクタになった。
昨今の企画は放映が始まる頃には全部作り終わっている、という作品が少なくない。
昔は、テレビで自分の担当している番組の予告を見ながら、やばい再来週うちの班のオンエアじゃん…とか思いながら仕事をしていたりすることはザラにあった。
デジタル化もそれほど進んでいない時代に良く間に合っていたものだな、とも思うが配信サービスなどの事情で昨今はそんなギリギリ納品はあまりない。(いや、また増えてきたという話も聞くけど…)
80年代は沢山の若い作り手がいて、それは人口の推移に伴い徐々に減っていき、いまだ80年代若者だった人たちに支えられているところは大きい。
しかし、皆んな歳を食って無理はきかなくなっているし、若い頃の無理が祟ってか早くに逝ってしまう人もいる。
そりゃ、昔のようなスケジュールではつくれないという訳だ。
良くも悪くもいい加減が通っていた80年代から90年代頭くらいまでは、作品のクオリティーの落差が激しかったかもしれないが、良いものはビックリするほど良く出来ている。
アニメに限ったことではないのだが、金があって人が沢山いた時代はこんなことが出来たのか…と驚嘆することがある。
今は極端にダメな作品は減ったように思うが、無茶苦茶すごいと思わせられるようなものも減ったかもしれない。
全体の作品量は膨大に増えたので、そこは本当に凄い。
相変わらずすごい才能の持ち主も沢山いるのだが、その人たちが一堂に会する機会はなかなか無さそうだ。
いや、一部の大きな予算を使える会社が凄腕スタッフをざーーっと集めていたりはするので、巷で話題のハイクオリティーな作品には、それなりにすごい人が集まっていると思う。
しかし、名もなき作品が突然すごいものを作ってしまうみたいなことは構造的に
出来にくい状況になったしまった。
今は潮目が大きく変わっている時なので、少し落ち着いたらまた面白いことが起こるかもしれない。
アニメは良くも悪くも(今のところは)若者文化だと思うので受け手と作り手の年齢差が近い方がいいんじゃないかと思う。
なので、才能ある若者をオジサンたちがうまく支えていくのが幸せな形なのかなと思う。昨今のリメイクブームを見ていると高齢者向けアニメもこれからバンバン作られる気はするが…。
はて、自分はどうしたものかと思うのだが、今は特に目標はない。
やりたいことが無いというわけでは無いのだが、仕事とは結びつかないかな。
若者に教えられることを教える、というのはしばらく前からやっているのだが、基本的には作品が動いている中でしか出来ない。
終わってしまえば次の仕事を求めて若者たちもバラバラに散っていくので、その間に出来ることをやる程度だ。
音楽のようにノウハウを求めてくるアマチュアがいるということはないので、私塾のような場所を作るのもなかなか難しい。
一年以上続くような長いシリーズをやっていた時は、教えていた人たちがそれなりに成果を出していた。
これからは、なかなかそういう仕事は無さそうなのでどうしようか…ということは少し考えている。
最近知り合いが50代で亡くなっていくので、私もいつまで持つかなぁ〜などと考えるが、自分のことは、とりあえずそれなりに楽しくやれればそれでいい、かな。

次へ 投稿

前へ 投稿

© 2024 木村隆一 website:Ryuichi kimura website