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Dr.スランプ【2024年03月09日】

昨日は久しぶりに会う面子で酒を飲んでしまったのもあり体調振るわず遅く起きてSNSを覗くと鳥山明の訃報に触れてなんだか長い時間呆けてしまった。

私は特に鳥山明のファンという訳ではない、けれど子供の頃に強く影響を受けたのは間違いない。

小学生の頃、鳥山明の絵を良く模写してた様な世代。

漫画やアニメ界隈の仕事をしていて80年代に子供時代を過ごしていて鳥山明の影響を全く受けていない人は存在しないと思う。

私が好きなのはDr.スランプでドラゴンボールの前半あたりまではリアルタイムに読んでいた気がするけど、その辺りで終わっている。

当時の漫画としては圧倒的に絵が垢抜けていて、日本人ぽくない絵柄が新しかったと思う。

江口寿史の「ストップひばりくん」と「Dr.スランプ」が似た様な時期に出てきてオシャレな絵柄で子供向け漫画を描いて見せてくれた。

鳥山明と江口寿史は私の中では似たキャリアを歩んでいるような印象で漫画家とイラストレーターの中間の様な仕事をしてきた人。

今でこそイラストの様な絵柄で漫画を描く人は沢山いると思うが、80年代あたりはまだまだそんな作品は少なかった。

大友克洋など、圧倒的画力の人は鳥山明以前もいただろうけどポップなイメージを併せ持っていた人は稀有だと思う。

鳥山明の描くメカはすごく好きだ。メカに限らず立体感がある絵は、その後の漫画、アニメの絵作りの方向性に良くも悪くも大きな影響を与えている。

しかし鳥山明に限らず、80年代はリアリティをフィクションにどう取り込んでいくかというのはいろんな場所で模索されていた様な気がする。

CGの無い時代に絵の中で立体が立ち上がるというのは、それだけである種の快楽をもたらした。

今はリアリティが陳腐化してしまったが。

私がアニメ業界で初めて入った会社はドラゴンボールのメインスタッフがいる会社だった。

監督の岡崎稔、キャラクターデザイナーの前田実など。

前田さんが居酒屋でボトルキープの札にサラサラと悟空を描きながら上手いだろと笑ったことなど思い出した。

子供時代に影響を受けたクリエーターが亡くなるのは寂しいが、同じ時代を過ごした幸運を噛み締めたい。

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