なんだかバタバタ【2023年12月18日】

仕事が忙しいというわけではないのだが、歯医者へ行ったり所用で落ち着かず。

JAniCAからアニメーション制作者実態調査2023が出た。色々あってずいぶん時間がかかったが。

これを見て驚く人は驚いただろう。アニメーターの収入がずいぶん上がっているので。

社員アニメーターが調査にずいぶん参加してくれたようなので、それによって引き上げられているとは思う。それにしても随分上がった。

しかし動画は相変わらずなので若い人や仕上げなどの部署の収入の低さは相変わらずだと思う。

若い人が居着いてくれないことにはスタッフは減る一方なので底上げまだまだ底上げしないと…。

90年代半ば辺り、攻殻機動隊など作ったIGの新人動画の研修期間中の固定給は8万円だった。

東京で8万円で暮らせるわけないじゃん…。

他の会社も動画に10万以上固定で出すような会社はほとんどなかったと思う。

私がスタジオジュニオに制作兼演出助手で入った時の給料が12万くらいだったように思う。

貯金やら親の脛を齧りながらギリギリ暮らしていた。

バブルがポシャっていたとはいえ他の仕事に比べたらとてつもなく安かった。

会社に入る前にやっていた映像業界関係のバイトの方が全然収入があった。

と、昔を思い出すと憂鬱にしかならなく今自分がそれなりに余裕を持って生活できてるのが不思議でしょうがない。

安い代わりに出入り自由の緩さはあって変な人も沢山いた。私が入った頃はそれでも随分普通になっていたとは思うが。

なんにせよ食えない仕事は仕事ではない。

昔の工場労働者のように搾取されまくってるとまでは言わないが、皆んなが食うに困らないようになるといいね、と思う。

文化庁がクリエーター支援の予算を60億確保したということらしいが、うまく使って欲しいもんだ。

週末は1年ぶりに声優向けのワークショップで座学の講師。

去年やったのとほぼ内容は同じだが、少し整理したので多少は分かりやすく時間内に収まったかな。

演出家とはどういう仕事なのか…というざっくりした内容なのだが何かしら刺激になっていると良いのだが。

若い頃は自分も演出の仕事が全くわかっていなかった。

経験的に学んだことを本を読んだりしてある程度理屈にして自分は使っているけれど、若い子たちがどのように学んでいるのか全くわからない。多分ほとんど経験的に学んだことを直感で使っているだけというようには思う。

感覚だけでやっていると大体どこかで行き詰まってしまう。

分かりやすく理論とか実践的なことを教えられるといいなとは思っているのだけれど、自分の知識だと若い子が当たれる理論書とかの知識が決定的に欠けているので色々読んでみようと思いつつ全然時間が取れない。

歳も食って若い子に教えるにしてももうあまり時間がないのでやらなきゃなぁ。

ちょっとした知識とかコツを学ぶだけでも食っていくのがだいぶ楽になるし、良いものも作れるようになる。と思うのだよね。

滲みでる

アニメの監督をやっていると、人様の描いたコンテを沢山見る。原作ものであっても、コンテマンによって結構バラバラな作風で上がってくるもので面白い。
私は長期の作品が多かったので、割と色々な人のコンテを見ている方ではないかと思う。

キャラクターの表情の作り方など、原作があればそれ程バラツキは起こりずらいかと思いきやそうでもない。
それは単に原作を読み込んでいないという場合もあれば、読み込んでいたとしても、このキャラクターが担当コンテマンにはこんな風に見えているのか…と不思議に思える様な芝居をさせている場合もある。
そもそも監督のキャラクターに対する認識が多数の理解と違っているという可能性もあるのだが、原作ありにしろ、オリジナルにしろ監督は脚本作りから関わっているので、基本的には理解度は高いと思う。そりゃそうだろ…と言うもんであるが。

面白いと思うのは、人によってズレてる方向もかなり違う。良くあるのは、担当コンテマンが普段メインでやっている作品に引っ張られるパターン。
大体、演出家にも自分の得意や好みがあるので、キャリアの中でこう言う作品を沢山やってきたというものがある。私だったら日常芝居の多いものを受ける事が多かったとか。
少年漫画的な仕事が好きで沢山やってきた人が、たまたま少女漫画の仕事を受けたりすると如実に癖がでる。
少年漫画的な感性の人は、柔らかい表情みたいなものを描かなくてはいけない時、その中間的な機微をどちらか極端に振ってしまう。
逆もまた然りで、とても怒っているみたいな少年漫画にありがちな感情の表出をソフトにしてしまうという人もいる。
作り手の気質と言うのは、拭い難く滲み出てしまうのである。

役者などもそうで、痩せている声優に太った役をやらせても大体上手くいかない。
背の小さい人は、可愛らしい感じが声に乗るし、大きい人もまたそれらしさが乗る。
自分の身体性や経験を良く知ることが、表現の幅を広げたり上手く使ったりの第一歩である。
恐ろしげな巨漢のキャラクターが可愛い声で話す、とか…上手く嵌ると良くあるよねー、というイメージを超えていける可能性がある。
役者のオーディションの時は、テンプレート的な選び方をなるべくしないように心がける。

私も仕事が来ると何で俺に頼んできたんだろうか、と考えるのだが、大体は手近にいるから…だ。良くないね笑。

しかし、スタッフの場合はオーディションもないし手近にいない奴は大体スケジュール合わないし、なかなか難しい。

歳と共に自分に出来ることも変わってくる。
自分の身体と仕事が上手く嵌まるかは半分運だ。
私は自分のストライクゾーンに投げて貰えない球は見送るタイプ。はて、人生も残り少ないが、どんな球が飛んでくるやら…。