日: 2024年9月16日

  • ちまちまと仕事、最近読んだ本【2024年09月16日】

    ちまちまと仕事、最近読んだ本【2024年09月16日】

    9月頭、多少落ち着きはしたもののチェック物が絶えずやってきたり音響作業やら会議やらで地味に落ち着かない。
    合間にコンテ作業もちまちまと。
    立て込んでいるようだが、先のことはまるで決まっておらずで、どうしたものやら。
    いつものことではあるのだが。
    連休なことに気づかなかった。
    祝日だから休みという仕事ではないので気にしていなかったのだが、最近は制作スタジオが休みをとること(建前的には)が多くなり、メールなどが減るので少し落ち着いたような錯覚を起こす。

    YouTubeでBLUE SEEDというI.Gが制作のアニメを無料公開しているのを目にしてタイトルは知っているが見たことがなかったので頭の方を流し見してみた。
    YouTubeはいろんな作品が無料公開されていて、作品によっては全話見られるものもある。
    ひと昔前は無料公開なんてとんでもない、収益の損失だ!的な業界の空気だったのだが変われば変わるものだ。
    商売の規模が大きくなったからこそ、こういった無料公開も可能になったということであるのかもしれないが。

    それはともかくBLUE SEED、テレビアニメとは思えないクオリティである。少なくとも1話はビデオアニメのような完成度だ。スタッフもデザイナー・作監が黄瀬和哉だったりでI.Gのメインスタッフを突っ込んでいる感がある。
    予算は、それほど出ていたとは思えないが…。
    放映が94年の秋番組なのでエヴァの1年ほど前になろうか。
    この頃のアニメ業界の隆盛を感じさせる。
    制作がI.Gと葦プロが組んでいる。プロデューサーに下地さんの名前もあり、この辺りの縁で下地さんは葦プロを辞めI.GグループとしてXEBECを作ったということなのだろうか。
    テレビの後のビデオシリーズはI.GとXEBECで作っているようだ。

    今では絶対にCGを使うであろうヘリコプターやら車やら手描きでがっちりと描いてある。
    *追記:初回でヒロインのスカートが破けパンツ一丁で逃げ回るという仕掛けに、のどかな時代を感じさせる。(女性客を基本的に相手にしていないということだ。今でもエロはあるのだが、この作品は今だったら特に男性向けに限定されることはない気はする)
    ほんとにすごい。メカカットは1カット1万円くらいは出ていたのだろうか。
    当時のテレビの平均的な1カットの単価は3500円くらいだと思う。
    3500円………正直、私が仕事を始めて単価を知った時は衝撃を受けた。
    バブルは弾けたとはいえ、世の中にはまだまだ金はあったはずで、なんでこんなアホみたいな安い値段で作ってるんだと思ったものだが(バブル真っ最中も安い値段で作っていたんだろうし)今、どのくらい変わったのかというと、まあだいぶマシになったとは思うのだが、まだまだである。

    ダンピングでたくさん売って儲ける昭和の商売みたいな状況は長らく続いていた。
    今は外貨が業界を支えているので、安くはあるが随分制作費は上がった。

    話が横に逸れたが、90年代あたりまで、今では金をかけたとて出来ないようなクオリティのアニメがかつてはあった。ほんとに何であんなものが作れていたのか不思議というような作品がある。
    ほとんどは若さが支えていたと思う。
    しかし、若さは失われた。

    今もまた、すごいアニメは作られているが、昔よりは格段にしっかり金をかけて作っているように思う。
    金があるだけではクオリティは上げられないのだが、制作会社によっては人材を育てたり集めたりを頑張っていてすごい作品ができている。
    一方、中堅の会社は苦労している印象ではあるのだが。

    明石市が作ったという、市の歴史を語るアニメ「明石と時のこどもたち」もYouTubeで見られるのだが(小黒さんが紹介していて知った)91年制作、制作会社は亜細亜堂。芝山さんが監督で柳田さんが作監でメカなどは出てこないが、びっくりするような出来だ。

    時代の豊かさを感じる。
    とめどなく色々書いてしまいそうなのでこの辺で。

    最近読んだ本、東畑開人「雨の日の心理学」素人向けにカウンセリングの技術を噛み砕いたという本だが具体的で比較的わかりやすい。東畑の他の本に書いてある内容と被るところもあるが、まとまりとしてはこれが一番まとまっているのかもしれない。広い意味で誰かの手助けをしている、あるいは手助けを必要としている人がそばにいるような人にはお薦めだし、介護や子育てで疲れている人にも役立つという気がする。

    積読が過ぎるので、何とか解消したい。
    机の横に積んである本をパラパラ読むと面白いものが沢山あるのだが、放置してあるもの多数。

    信田さよ子が初めて本を出したのが50過ぎてからとか、私も頑張って小説でも書こうか…。

  • ストリーボード作成で学ぶ演出(のための準備)【02】

    ストリーボード作成で学ぶ演出(のための準備)【02】

    chatGPTが出してきたストーリーボードを新人に教えるための項目

    1. 目的の理解
    2. シナリオの解釈とシーンの分解
    3. カメラワークの基本
    4. 構図とレイアウト
    5. キャラクターの動きと表情
    6. シーンの繋がりとテンポ
    7. 映像言語の使い方
    8. ライティングと影の活用
    9. 音響や音楽の考慮
    10. フィードバックの受け入れ方

    これはこれで的を得ていると思いつつ私が普段教える時は、以下のような要素を意識している。

    1. カメラの高さについて
    2. サイズの選択について
    3. 写す対象について
    4. イマジナリーラインの理解
    5. 二人の会話
    6. 三人(多人数)以上の会話

    これだけ。これだけというか、2人の会話も3人の会話もイマジナリーラインのサブ項目なので、大体4項目。
    普段は描いたコンテとシナリオをもらって添削のような形で教えることが多いのだけど、やはりあまり難しいことを言っても伝わらない。ので、なるべくシンプルに教えようと心がけてはいる。
    シナリオの解釈は頭の1、2、3に関わるのだが、ここはとても難しい。

    アニメの絵コンテでは、実写では別の役職が担っている仕事を一手に引き受けているため、新人さんは混乱してしまうことが多いという気がする。
    ・映像のつながりを決める
    ・キャラクターの演技を作る
    このうち演技の方は、実写では主に役者が担っているのだけれど、アニメの場合演出家(の描いた絵コンテ)でかなりの部分を想定することを要求される。
    この演技を考える部分が、かなり難しくて教えるのにも困難がある。私もあまりまともに教えられる気がしない。
    しかし、映像のつながりを決める部分に限定するとそれほど難しくは無いのではないかと思っている。
    まずは、この2つを分けて考えることがストーリボードの理解の助けになるのではないか。
    その場合、シナリオの解釈はどこまで必要なのか?
    シナリオの読み方をそもそも先に教えた方が良いのではないか?
    という気もしてくるが、それはそれで大変なことなので、なるべくシンプルに同時に教える方向で考えてみたい。

    シナリオの解釈を教える場合、「誰が、どこで、何を、どうした」5W1Hの理解と表現が基礎。
    あとはキャラクターの感情とそのつながりの理解。

    演技はそれ単体で非常に奥深い技術が蓄積されていると思うが、私は詳しくないので調べる必要あり。
    演技メソッド的な本はたくさん出ているのである程度漁ればざっくり把握は可能かと思われる。
    アニメの演技は表現の幅など人間のそれとは違う。
    またアニメ的キャラクター独特の表現の難しさ(視線の問題など)があるので、そこは教えられると良いかもしれない。

    絵的な表現についても私はあまり詳しくないので、ざっくりと調べる必要あり。
    パース、構図の一般的な技術など。

    ・対象の選択
    超初心者向けに教える内容と中級者以上向けに教えるのでは内容が大幅に違ってくる。
    まずは超初心者向けの内容について考えてみるか。

    やはり重たいが、まあ進めてみよう。